徳川家光が描いた「ゆる絵」をモチーフにしたぬいぐるみが8月27日、二条城(京都府京都市中京区二条通堀川西入二条城町)に到着した。京都芸術大学美術工芸学科染織テキスタイルコース2年の内藤晴花さんと仲村きねさんが、東海道の宿場や城を巡りながら運んできた。
旅をしたのは、家光筆の「兎図」と「木兎図」をモチーフにした「うさみつ」と「みみみつ」の2体。内藤さんがミミズクの「みみみつ」、仲村さんがウサギの「うさみつ」の制作を担当した。今回の旅は、京都府や京都市などで構成する「寛永行幸四百年祭実行委員会」が展開するプロジェクト「家光のゆる絵、東海道をゆく」の一環。2人はぬいぐるみを携え、8月20日に東京・日本橋を出発した。
東海道の宿場や城を巡りながら西へ進み、小田原城、駿府城、浜松城、新居関所、吉田城、二川宿、岡崎城、亀山城、草津宿などを経て京都入り。8月27日、最終目的地の二条城へ到着した。到着後には、番外編として大阪方面の淀城、枚方宿、守口宿にも足を延ばした。
道中では、かつて大名が使っていた籠にぬいぐるみを載せて撮影する機会もあり、400年前の行列そのものを想起させる一枚となった。
旅の中で印象に残った場所として、2人は複数の地点を挙げる。旅立ちに際して訪れた白華山養源寺(東京都文京区)では、家光筆「木兎図」の実物を拝見したうえで、ぬいぐるみに魂入れをしてもらった。東海道かわさき宿交流館では、ぬいぐるみをきっかけに周囲との会話が生まれた。「家光がたどったのと同じ道を歩き、同じ場所を訪れることで旅を追体験しているような感覚があった」という。このほか、「二川宿でのぬいぐるみの着付け体験や、昔ながらの建物が多く残る蒲原宿での撮影も心に残った」と言い、蒲原宿では「まるでタイムスリップしたかのような写真が撮れた」と振り返る。
実際に東海道を巡って感じたこととして、多くの区間で道幅が昔から変わっていないことを実感した一方、変化している地域もあったという。「実際に歩いたり、訪れたりすることで、当時の人々もこの道を通っていたことをより実感できた」と言い、「長い距離を徒歩で進んでいた昔の人々の大変さを、旅を通じて改めて感じた」と話す。撮影してきた写真を見返し、濃密な日々だったことを改めて実感するとともに、無事に旅を終えられた達成感を語った。
内藤さんは「ぬいぐるみと旅をすることで、徳川家光らが通った400年前の道のりを追体験できたことが、今回の企画ならではの面白さだと感じた」と振り返る。
プロジェクトは、京都府や京都市などで構成する「寛永行幸四百年祭実行委員会」による記念事業の一つ。寛永3(1626)年、江戸幕府3代将軍・徳川家光が後水尾天皇を二条城に迎えた「寛永行幸」から今年で400年を迎えることを記念して企画された。当時の行列は朝廷方・幕府方合わせて総勢約9000人に上ったとされる。
旅の目的は、400年前の道のりを再現するだけでなく、ぬいぐるみを「各地を経由しながら京都へ向かう存在」に見立て、沿道の歴史や文化、宿場の魅力を発信すること。2人は道中、各地の人々と交流しながらその様子を発信してきたという。寛永行幸四百年祭では今後、行幸行列の再現イベントをはじめ、寛永文化ゆかりの展覧会や装束の復元など、各地域との連携事業を展開する予定。