プレスリリース

現代美術家・高屋永遠、世界遺産・仁和寺で個展「高みへと降下する」を開催

リリース発行企業:株式会社宙と土

情報提供:

株式会社宙と土が運営するアートプロジェクトWHYNOT.TOKYOは、2026年10月25日(日)から10月31日(土)まで、ならびに11月6日(金)から11月8日(日)まで、世界遺産・真言宗御室派総本山 仁和寺(京都市右京区)にて、現代美術家・高屋永遠の個展「高みへと降下する」を開催します。能登の素材と光学的特性を持つ素材を重ねた新作を白書院に展開します。ゲストに珠洲焼作家・中山達磨氏を迎えます。
黒書院では奥能登の伝統工芸と現代美術によるグループ展「もつれと循環」を同時開催します。両展のキュレーションは文化研究者の山本浩貴氏が担当します。

写真:高屋永遠(現代美術家)


高屋永遠《一塵万象》2026年、φ53cm素材:珠洲焼の窯場で採取した木片、能登瓦、珠洲焼の窯場の灰、珪藻土、顔料、油、木パネル撮影: TIG/Courtesy of Artist

高屋永遠《澎湃-天から、地からー》2026年、h.70cmx225cm素材:輪島市で採取した流木、珠洲市の隆起した海岸で採取した岩石、顔料、パール顔料、石灰、他撮影: TIG/Courtesy of Artist


高屋永遠《遍ー星雨》2026年(顔料、パール材、油)、h.155cmxw.205cm撮影: 佐藤友宏/Courtesy of Artist

高屋永遠《遍ー豊穣》2026年(顔料、パール材、油)、h.65cmxw.130cm撮影: 佐藤友宏/Courtesy of Artist

能登の物質と仁和寺の光が交わる個展「高みへと降下する」

高屋永遠は、能登半島地震以降、WHYNOT.TOKYOによる珠洲焼作家への支援活動を通じて奥能登を訪れ、現地の作家や工房との対話を続けてきました。本展では、能登の土・砂、珠洲焼の灰、鉱物など土地の時間を含む素材と、偏光パールや金属素材など光学的特性を持つ物質を重ねた新作を発表します。作品は、白書院に差し込む自然光と鑑賞者の移動に応じて表情を変え、像が立ち上がり、ほどけ、別の表情へと移っていきます。

本展のタイトル「高みへと降下する」は、シモーヌ・ヴェイユの断想集『重力と恩寵』における、恩寵を上昇だけでなく下降の運動として捉える逆説から着想を得ています。本展における「高み」とは、大地や現実から離れた遥かな場所にあるものではありません。むしろ、足元の土地や物質、隣人の生へ深く注意を向け、そこへ降りていくことによって開かれるものではないか。高屋にとって奥能登への継続的な関わりは、その問いを制作と実践の両面から確かめる経験となりました。

作品表面の粒子や痕跡は、見る位置や光によって、山や谷、気流、遠景のような像を一時的に立ち上げます。流木や異なる形のキャンバス、床面へ展開する作品を通じて、物質へ近づく「下降」が知覚の広がりを開くという逆説を、白書院の空間に構成します。

会場には、ゲストとして「幻の古陶」と呼ばれた珠洲焼の復興に尽力した中山達磨の作品も併せて展示します。中山達磨は、白書院のゲスト作家として、また黒書院のグループ展参加作家として、両会場に出展します。

【高みへと降下する 出展作家】高屋永遠(現代美術)/ゲスト:中山達磨(陶芸・珠洲焼)

なぜ、仁和寺なのか


写真提供:仁和寺

写真提供:仁和寺

仁和寺は、大きな喪失と再興を経ながら、文化と祈りの営みを今日まで伝えてきた寺院です。本展では、その歴史を持つ仁和寺を会場に、奥能登の工芸を担う作り手と現代美術家による作品を紹介し、文化が人の手によって受け継がれていくことを考えます。

仁和寺は、仁和4年(888)に第59代宇多天皇によって完成しました。応仁の乱で伽藍の大半を焼失した後、正保3年(1646)に再建され、1994年には「古都京都の文化財」の構成資産の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されています。
仁和寺公式サイト:https://ninnaji.jp

高屋永遠(たかや・とわ)について


写真:高屋永遠(現代美術家)

高屋永遠(たかや・とわ)|現代美術家

1992年東京都生まれ、東京を拠点に活動。2015年、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ美術学科卒業。光学現象と素材の探究を軸に、絵画を光・物質・身体・環境の関係から知覚が生成する場として展開する。偏光パール、土、鉱物、CO2由来素材などを用い、物性や土地に記録された時間が光・視点・環境によって変容する視覚経験を立ち上げる。作品は見る角度や距離によって色彩と奥行きを変え、近づくと像が変化し、離れると再び別のものに変化する。近年は、能登で採取した土や砂、珠洲焼の灰なども制作に取り入れている。

2019年にアートプロジェクトWHYNOT.TOKYOを始動。展覧会や作家支援を通じて創作と社会をつなぐ活動を展開し、2023年以降は珠洲焼の復興と継承を支援している。2022年より、株式会社資生堂 みらい開発研究所との共同研究を実施。2025年、第3回日本国際芸術祭/大阪・関西万博展で高屋永遠展「流転と無限」を発表。2026年、明治書院の高等学校用国語教科書『新 精選 現代の国語』『新 精選 言語文化』の装画を担当した。主な個展に「Threshold of Emergence」(Tokyo International Gallery、2026年)、「真空の輪郭」(鎌倉画廊、2025年)など。

同時開催|黒書院 珠洲焼・輪島塗・現代美術の作家7名による「もつれと循環」

黒書院では、山本浩貴のキュレーションにより、珠洲、輪島の工芸作家の作品、現代美術の作品を展示・販売します。珠洲焼や輪島塗など、土地の素材と長い時間から生まれる工芸と、社会や認識の変化に応答する現代美術を、同じ空間で紹介します。

本展が掲げる「もつれ」とは、支援する人と支援される人、都市と地域、伝統と現代、過去と未来が、切り離されたものではなく、互いに影響し合いながら一つの現実を形づくる状態を指します。鑑賞者、購入者、支援者もまた、その関係の一部です。

【もつれと循環 出展作家】中山達磨(陶芸・珠洲焼)、清水武徳(陶芸・珠洲焼)、山元健司(漆芸・輪島塗)、竹中美幸(現代美術)、白濱真理子(現代美術)、南条嘉毅(現代美術)、佐直麻里子(現代美術)

作品販売と文化支援の仕組み

会場では、高屋永遠の作品をはじめとする現代美術の参加作家の作品のほか、珠洲、輪島の工芸作家の作品を白書院、黒書院、高松宮記念書院にて展示・販売します。また、作品購入に加え、協賛・寄付を通じて、作り手の次の制作や技術の継承を支える機会を設けます。
協賛金・寄付金は作品販売収入と区分して管理し、その配分方針と使途、実施後の活用実績をWHYNOT.TOKYO公式ウェブサイトで公開します。

開催概要

展覧会名:高屋永遠展「高みへと降下する」
前期:2026年 10月25日(日)~10月31日(土)
後期:2026年 11月6日(金)~11月8日(日)
休展:2026年 11月1日(日)~5日(木)
開催時間:[9:00]~[17:00](最終入場[16:30])*最終日は16時閉場。
展覧会観覧料:無料。ただし、会場への入場には仁和寺御所庭園の拝観料が必要です。
(高校生以下無料)
会場:真言宗御室派総本山 仁和寺 白書院、黒書院 
所在地:〒616-8092 京都市右京区御室大内33

展示構成・実施体制

白書院:高屋永遠個展「高みへと降下する」/ゲスト 中山達磨
黒書院:奥能登の伝統工芸と現代美術グループ展「もつれと循環」
両展キュレーション:山本浩貴
主催:株式会社宙と土
会場協力:真言宗御室派総本山 仁和寺
協力:立命館大学
企画・運営:WHYNOT.TOKYO
助成:公益財団法人 小笠原敏晶記念財団『令和6年能登半島地震 第4次緊急助成(現代美術・伝統工芸分野)』
広報協力:前田遼介(株式会社企画と編集社)

真言宗御室派総本山 仁和寺

立命館大学

公益財団法人 小笠原敏晶記念財団

関連プログラム

2026年10月24日(土)13:00~15:30、立命館大学衣笠キャンパス・平井嘉一郎記念図書館にて、本展の開幕記念トークイベントを開催します。能登半島地震後の輪島漆芸と珠洲焼の現在、能登の工芸と現代美術を通じた文化の継承をテーマに、研究者、作家、キュレーターらが登壇します。プログラム、登壇者、参加方法等の詳細は、後日配信するプレスリリースおよびWHYNOT.TOKYO公式ウェブサイトで発表します。

本展に寄せて <キュレーターコメント>

この展覧会に関わるにあたって、WHYNOT.TOKYOさんのお力添えで能登を訪れました。これまでWHYNOT.TOKYOさんが能登で行ってきた支援のネットワークの大きさに感銘を受けると同時に、「被災した文化を遠くから『支援される対象』として眺める」のではなく、「持続可能な文化支援の回路をつくる」という理念に深い共感を覚えました。能登ではまだまだ復興が進んでいない場所があるという事実に直面するとともに、それでも希望を捨てずに活動している内外の人々との交流を通じて、ぼく自身が大いに励まされることになりました。自らの専門である現代美術のキュレーションを通じて、少しでも能登の文化がもつ力を見る人に伝えることができるような展示を構成することができれば嬉しく思っています。(山本浩貴)
山本浩貴・やまもと ひろき
1986年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学で修士号・博士号を取得。ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員、韓国・光州のアジア・カルチャー・センター(ACC)リサーチフェロー、香港理工大学ポストドクトラル・フェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教、金沢美術工芸大学講師を経て、2024年より実践女子大学文学部美学美術史学科准教授。第15回光州ビエンナーレ日本パビリオン(2024年)をキュレーション。主な著書に『現代美術史――欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社)、『ポスト人新世の芸術』(美術出版社)、『地域芸術祭とは何か』(平凡社)など。

高屋永遠とWHYNOT.TOKYOについて

WHYNOT.TOKYOは、現代美術家・高屋永遠が2019年に始動し、株式会社宙と土が運営するアートプロジェクトです。展覧会や文化支援プロジェクトの企画・実践を行っています。
コロナ禍では、予約制展覧会の開催や助成申請支援を通じて、社会状況が変化するなかでも「作品が生まれ続ける環境」を守ってきました。2023年以降は、アート、クラフト、テクノロジー、地域文化へと活動領域を広げています。

そのなかで、2023年5月の奥能登地震と2024年1月の能登半島地震以降は、珠洲焼作家や工房との対話を起点に、助成申請や再建計画に伴走し、作品の発表・販売機会をつくることで、作家の制作と暮らしに寄り添ってきました。
こうした活動は、失われた設備の復旧にとどまりません。公的支援だけでは対応しにくい課題にも継続的に関わり、震災以前から地域で培われてきた技術、知恵、記憶、人と人とのつながりを、生きた文化として次世代へ手渡すことを目指しています。

WHYNOT.TOKYOは、創作を支える人、資金、技術、場をつなぎ、作品の発表が次の制作へと続く「創造の循環」を育てています。

お問い合わせ先

WHYNOT.TOKYO
E-mail:[info@whynot.tokyo]/公式ウェブサイト:[https://whynot.tokyo/

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