京都 清宗根付館は、現代根付を中心に根付を専門に紹介する美術館として企画展を開催しています。
2026年7月から9月にかけては、企画展「根付はタイムトラベラー」展を開催します。現代根付は空想の世界や物語を自在に表現することができ、時間も場所も自由に行き来できるタイムトラベラーといえます。時間を行き来するという概念は日本では古くからあり、日本最古の物語『竹取物語』や『浦島太郎』などもタイムトラベルがテーマといえます。現在のアニメやマンガなどでは異世界転生として全く別の人格として生まれ変わったり、時には人間でない別の存在となったりする場合もあり、パラレルワールドやタイムリープなどタイムトラベルの概念は広がっています。さあ、一緒に根付をめぐる時間旅行に出かけましょう。

『根付はタイムトラベラー』展
9月「極上の非日常」展にて展示されている根付の一部をご紹介します。
旅は見たことない風景に触れ、美味しい食事や新しい出会いをすることで日常から離れた特別な体験を味わうことといえます。時間旅行も時空を超えた極上の非日常に身を委ねることによって、今までとは違う視点で現実を見つめるきっかけを与えます。長い旅から帰ったとき現実の世界の不条理や欺瞞に引き戻されたとしても、日常に潜む「普通の生活」をかけがえのない幸せだと改めて感じる方も多いことでしょう。そこには先人たちが築いてきた文化の積み重ねが感じられるはずです。今月は旅の風物を特集し、極上の非日常と平穏な日常を通して人間の営みがもたらす幸福感にひたる根付を紹介します。
「感動」作者:黒岩 明(1949~)
大きさ:高4.5cm
素材:象牙
解説:ふとした瞬間に大きな幸運が訪れることを表現している。擬人化されたスロットマシーンは頭にねじり鉢巻きをして運命の大勝負にでて、見事大当たり!

「感動」

「飛躍」
「飛躍」作者:齋藤 美洲(1943~)
大きさ:高11.0cm
素材:鹿角・べっ甲
解説:馬が前足を高く上げて勢いよく跳ねる姿は、困難を飛び越え、目標を達成する(飛躍・上昇)ことを表す。鉄道ができるまで馬は最速の移動手段であった。
「鬼も蛇も出た」作者:桜井 英之(1941~)
大きさ:高4.4cm
素材:黒檀・象牙・ピンクウッド
解説:いつ怖いものが出るか分からないように未来は予測できないという諺より。作品では両方が出てしまい、鬼は兜をかぶって蛇をよけようと困り顔。

「鬼も蛇も出た」

「親指姫」
「親指姫」作者:針谷 祐之(1954~)
大きさ:高3.1cm
素材:象牙・漆・黄楊
解説:アンデルセン童話より。親指ほどの大きさの女の子が奇想天外な世界に連れ去られて苦労を重ねた末に、最後には幸せを手にするというお話し。
「通勤地獄 さらば先頭車両と日の丸弁当」作者:若林 寛水(1955~)
大きさ:高3.8cm
素材:象牙・黒水牛角・黒檀・べっ甲他
解説:「通勤地獄はマンガだ」(1965)と新聞で揶揄された東京の通勤ラッシュ。昭和の高度成長はそうしたサラリーマンたちによって支えられた。

「通勤地獄 さらば先頭車両と日の丸弁当」



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