山県有朋の別荘として作られた「無鄰庵(むりんあん)」(京都市左京区南禅寺草川町)で2月22日、スイスのチョコレートブランド「リンツ」のチョコレートテイスティングセミナーが行われた。
昨年3月に「リンツ ショコラカフェ京都店」(下京区)がオープンしたことを記念して行われた同イベント。参加者は、ローストしたカカオ豆や、それを細かくしたカカオニブ、カカオの実から採れる油脂を固めたカカオバターを試食しながら、カカオがチョコレートになるまでの工程を紹介を受けた。
講師の千住麻里子さんは「1800年から百年間で、飲み薬だったチョコレートが現在の味になるまでに、4つ工法が発見された」と話す。そのうちの一つが、チョコレート作りの工程で、12時間以上かけて行われる「コンチング(練り上げ)」の技法。1879年にチョコレート作りをしていたロドルフ・リンツが金曜の夜に撹拌の機械を止めずに家に帰り、休み明けに工場に行くと、なめらかな口溶けのチョコレートになっていたというエピソードと共に紹介した。
最後に参加者は70%や99%のハイカカオのチョコレートなど8種類を、酸味や苦み、舌触りなどを確かめながら食べ比べた。千住さんは99%カカオと抹茶の組み合わせを提案。口の中で溶けにくく、ねっとりとした99%チョコレートを先に食べて、抹茶を飲んだ参加者からは「苦みと苦みが不思議とくせになる」「新しい発見で面白い」などの感想が寄せられた。
向日市から参加した武内冨久子さんは「90%のチョコレートは苦いのかと思ってこわごわだったが、果実味を感じる甘みがあってお気に入りになった。またいろいろと試してみたい」と話していた。