漢字ミュージアム(京都市東山区)で6月16日、企画展示「なやみ深き漢字学習- 戦後から現代へ-」が始まる。
昨年行った明治期から戦後までの展示の続編となる同展。(当時の)文部省の学習指導要領や漢字ドリルなどの資料、ICTに対応した最新教材などを紹介する。
戦後以降の漢字学習では、学年ごとに習うべき漢字を示した「学年別配当表」を初めて記載した1958(昭和33)年の学習指導要領を展示する。展示を担当した漢字文化研究所研究員の小林雄一さんは「学年別配当表が出るまでは教科書を発行する出版社ごとに学年で習う漢字が少しずつ違っていた」と話す。
「学年別配当表だけで『悩み』は解決したわけではない」とも。配当表には教科書体でなく明朝体が使われ、受験戦争の激化も相まって「字形が違う」と極端に採点が厳しくなった時期もあったという。
展示では、寄贈されたり、購入したりして同館が集めた漢字ドリルの変遷をまとめたコーナーも設ける。1937(昭和12年)に出版された、リング式の「書取カード」は書き込めず、ノートに答えを書くものだった。1980年代ごろからの漢字ドリルは「とめ」や「はらい」を細かく指示するほか、2000年代にかけて書き取りの回数が増え判型が大きくなっているという。
現代のデジタル化した漢字教育を紹介するコーナーでは、教育現場で使われている漢字学習を体験できる。手書きの漢字の採点体験では、どのような基準で実際に運用されているのか解説が見られる。
同館学芸員の田中郁也さんは「どうすれば効率よく漢字が学習できるのか、漢字学習はどうあるべきか悩ましい問題だらけ。漢字学習の難しさを知ってもらえたら」と話す。
開館時間は11時~17時(最終入館は閉館30分前まで)。月曜・火曜休館、臨時休館あり。入館料は大人=800円、大学・高校生=500円、中学・小学生=300円ほか。10月3日まで。