「ジュンク堂書店 京都店」(京都市下京区)の最終営業日の2月29日、多くの人が詰めかけた。
同店は1988(昭和63)年に開業。創業の地である兵庫県以外に初めて出店した店で、32年間営業。丸善ジュンク堂書店(東京都)が今年1月、同店と名古屋店の閉店を発表した。
レジには「32年間ありがとうございました」のメッセージが張り出されたほか、1階入り口では「スタッフのおすすめ本」のフェアを展開し、エスカレーター脇の壁にはイラストレーターや作家からの色紙が張り出された。
中京区に住む30歳代の男性は「10年ほど前になかなか手にとらないような大判の本を購入したのがこの店だった。今日もフェアで目についた出版社で働く友人のエッセイなどを購入した。巡り合わせを感じている」と話す。
30年前、学生時代に同店でアルバイトをしていた松下良太さんは、大阪から駆けつけ日本史やロシア政治などの専門書を購入。「当時はここまでの大型書店はなく、専門書に力を入れていた。今日もほかの本屋には無いような専門書があってそのDNAを感じた。周辺に大型店が増え、閉店という経営判断も仕方のないこととはいえ、思い出のある店なので残念」と振り返っていた。
閉店時間の21時を過ぎても、入り口近くの棚に迫るほどのレジ待ちの人の列ができていた。
大寺伸二店長は「当店は開店以来、専門書に力を入れてきた。今日で閉店となるが、皆さんの心の中で生き続けてくれると思う。多くの方に感謝申し上げたい」と挨拶。集まった人から「ありがとう」という声と拍手が続く中シャッターが閉められ、32年の幕を閉じた。