京都文化博物館(京都市中京区)で6月21日、対談「宮田亮平文化庁長官と文化を語る(和食編)」が行われた。
文化庁の全面的な京都移転が決まり、昨年4月に移転に先駆けて設けられた地域文化創生本部(東山区)1周年を記念して行われた同対談。2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に選ばれたことから「京料理 萬重(まんしげ)」若主人で、若手料理人の集まる「京都料理芽生会」会長の田村圭吾さんをゲストに招いた。
金工作家である宮田長官は「自分で作った包丁を研ぎ、釣った魚をさばいてお祝いに振る舞うこともある。長官室にも流し台が欲しかった」と会場を笑わせた。
田村さんは京都の和食について、「京都は海のものであれば若狭、淡路、伊勢など、各地の食材を使うのが特徴。和食といっても寺社や茶人、武家から庶民的なものまでさまざま」と説明する。
宮田長官は世界から見た和食について、「素材の持ち味以上に生かし、それぞれの違いが感じられる料理はほかに少ない。刺し身などの冷たい料理も一つの美学。同じ東アジアにも珍しく、武器になる」と話す。
この日は水出しでグラスに入れた宇治の玉露が用意され、出演者が乾杯する一幕もあった。宮田長官は「これ本当においしい」と目を細め、田村さんは「お茶には、だしと同じうまみ成分がある」と話していた。