NTTけいはんなビル(相楽郡精華町光台)で6月1日、NTTコミュニケーション科学基礎研究所のオープンハウスが始まった。
例年この時期に開催している同イベント。今年は、「データと学習の科学」「コミュニケーションと人間の科学」「メディアの科学」など4セクション、全29ブースで研究の紹介を行う。
中には話題の「AI」を使った技術も用意。「地方か都会か」「TDLかUSJか」といった話題に2つのAI人が一緒に議論をするブースも出展する。大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒浩教授が研究を手掛けるロボット、女性型の「Uちゃん」「スケルトン」はこの日、「沖縄か北海道か」をテーマに議論した。話題は梅雨の有無から始まり、気候、食べ物など多岐に及んだ。
沖縄派のUちゃんが「北海道は水温が低いので泳ぐ人は少ないですよ」と話すと、「台風が沖縄に上陸するニュースをよく見ますよね」と台風の発生メカニズムを交えてスケルトンが反論。「ジンギスカンはおいしいですよ」と人が話題を提供すると、Uちゃんは「ラム肉は食べ慣れない人が多いのでおいしく感じるとは限らないですよ」と持論を展開した。
AI対話システムは、1つの話題に対して20の観点を設定。一つの観点には100の論点あらかじめを用意し、これらを「議論構造」として構築。AIは構造化された知識に基づいて対話を制御する技術を使い、対話を進める。同研究は、AIが旅行カウンターなどで相談相手となることで相手に気づきを与えるといった役割が期待されるという。
同メディア情報研究部の金子卓弘さんは、人の顔の表情データを元に、目や口元の位置を笑顔になるように指示するシステムを開発。ポーズや音声でも同様に活用できるという。「従来のものは、『60点』など現状の判定にとどまっていたが、具体的な指示が出せる点が新しい」と金子さん。デモンストレーションでは、カメラで金子さんの表情を認識し、口元に矢印を表示、向きと長さで笑顔の指示を出した。同技術は、スポーツや「匠の技」習得などの分野で活用が期待されるという。
期間中、引っ張られた感覚を生じさせるデバイスの体験や、VR空間でバッターとなり、ボールを打つ腰の動きを計測するブースも設けられる。研究者による研究講演も予定している。
開催時間は9時30分~16時。入場無料。今月2日まで。