根付け専門の美術館「京都 清宗根付館」(京都市中京区壬生賀陽御所町、TEL 075-802-7000)で9月1日、初秋の特別公開「栗田元正」展が始まった。
根付けは、印籠や巾着をひもを使い、帯からぶら下げる際に使われた留め具。主に象牙やツゲ、鹿の角などが使われている。度重なる飢饉(ききん)によりぜいたくが禁止された江戸時代に、小さくて目立たない根付けに精巧な細工を凝らすことで「粋」を楽しんだ。海外にも輸出されコレクターがいるほか、同館でコレクションを見ることができる。
現代根付けを中心に約400点を展示する同館。特集展示される栗田元正さんは、象牙や鹿の角を素材とした彫刻を得意とし、特に象牙を使った作品で「日本の象牙彫刻展」では文部大臣奨励賞を、「日本象牙工芸展」では経済産業大臣賞をいずれも最年少で受賞。1999年には、正倉院の宝物にも使われた象牙彫刻の技術を復活させた村松親月さんに指導を受ける。展示では、色鮮やかな着色が目を引く初期の作品から、古典根付けや茶道や華道、小唄などの伝統的な「形式美」から学びながら、新しい技法にも挑戦をした作品まで約70点を並べる。
「小さい中にもそれぞれの世界が詰まっているのが根付けの魅力なので、じっくり見てもらいたい。きっとお気に入りが見つかるはず。京都市内に唯一の武家屋敷の凛としたたたずまいも感じてもらえたら」と同館広報担当者。
開館時間は10時~17時(最終入館は16時30分まで)。入館料は一般1,000円ほか。今月31日まで。