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京都から「チーム精進」、米国へ-精進料理人の棚橋俊夫さん抱負語る

ゴマをする棚橋さん

ゴマをする棚橋さん

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 「Impact Hub Kyoto」(京都市上京区)で12月26日、精進料理人・棚橋俊夫さんの講演が行われた。

講演後に振る舞われた料理

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 棚橋さんはすり鉢とすりこぎを持って登場し、床に座ってゴマをすり始めた。会場にはゴマの香りが立ち始め、「目を閉じて五感で感じてください」と棚橋さん。来場者はしばらくゴマの香りとゴマをする音に集中した。

 棚橋さんは尼寺の月心寺(滋賀県)で3年間修業。「庵主(あんじゅ)である村瀬明道尼さんはとても厳しい方で、つらいことも多かった。それでも事故で体が思うように動かなくなった彼女が左手ですりこぎを持ち、右手の代わりに体を前傾にしてすりこぎを押さえ、体を揺らして毎日2時間ひたすらゴマをする姿は、『自分と向き合い、うそをつかない世界』を僕に教えてくれた」と振り返る。

 棚橋さんは、講演の中で「人と植物の関係」を強調。「植物は『食物』、つまり食べものということ。植物は太陽と水と空気と土であれだけの栄養を見返りなしに作り出す。奇跡を生み出す『神様のような存在』」と話し、常に感謝の気持ちで野菜と向き合うという。「僕はベジタリアンではないので、出されたものは肉や魚もいただくが、動物にまで包丁を入れることはしない」と自身の精進に対する立場も説明した。

 経済産業省の「クールジャパンの芽の発掘事業」に採択されて活動を進めてきた棚橋さん。精進を支える食材や調味料を作る生産者に会いに沖縄から秋田まで日本各地に足を運んだ。「『うそをつかない』仕事をする方々との素晴らしい出会いがあった。産地を巡ることはかねての願いだったので本当に感謝している」という。今後、サンフランシスコの禅センターやシリコンバレーの企業でのイベントも予定しており、「チームとしてこれまでのことをぶつけにいくつもり。アメリカから精進の良さをわかってくれる人が出てくるはず」と意気込みを話した。

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