藤井大丸(下京区四条寺町、TEL 075-221-8181)壁面に1月中旬から、8頭の像が天に駆け上がっていく様子をダイナミックに描いた巨大懸垂幕がお目見えした。
懸垂幕は2008年の京都サミット誘致をアピールするもので、「ウェルカム京都サミット2008」と描かれている。懸垂幕は4つの幕をつなぎ、エナメル塗料を使用。サイズは16×13.6メートルで、重さ180キログラム。
絵描きの木村英輝さんが制作を手がけた。大阪・泉大津出身の木村さんは、高校生の時に京都に移り、以後拠点を置いている。内田裕也さんとも懇意にしており、ロックコンサートなどのイベントプロデュサーとして活躍したが、60歳を機に絵を描くようになった。もともと芸大の出身で、その才能はすぐに開花し、現在ではレストランなどの壁画に、「サイのファミリー」「シンギングパンサー」「麦の賛歌」などのダイナミックで躍動感がある作品を描いている。青蓮院の襖絵を手がけたことでも知られる。
制作のきっかけは、沖縄サミットの際に、木村さんと親しくしていた人が京都への誘致を熱望していたことや、自身もサミット誘致への思い入れがあったのと、昨年12月初旬に藤井大丸の前を通りがかった時に、サミット誘致を呼び掛ける商店街の垂幕が目に入ったことが重なり、藤井大丸正面にサミット誘致アピールの懸垂幕掲出を思い立ったという。
像のモチーフは、東洋で縁起がいいとされていることと、「リバーオリエンタル」の自身の象の作品を観た帰りだったことから選ばれ、サミット8カ国にかけて8頭とした。制作費55万円は木村さんが出した。実現までには広告規制などの問題もあったが、「懸垂幕の大きさに伴う問題は、京都で懸垂幕を扱っている檜尾さんが、ライトアップは商店街やαステーション(FM京都)などの尽力で解決できた。多くの人の力で完成した」(木村さん)という。
懸垂幕の制作は旧立誠小の講堂で友人などのべ100人が参加。わずか1週間で完成させた。木村さんは「絵は理屈のない勢いと切れ味で格闘技のようなもの。商売や評論家に迎合するのではなく、大和絵のようなものを現代的にポップに描き、美学を伝えたい」と話している。
木村さんは、来週から広島市のインターナショナルスクールに赤い象を描くほか、イベントプロデュースの逸話をまとめた書籍の刊行も予定している。「サミット誘致の暁には、『祝サミット』のロックコンサートを行いたい」(木村さん)とも。懸垂幕の掲出は2月4日まで。