![京都企業の社長がシンガポール大学の研究所長に。中津さんの会社はロボット技術で有名。](https://images.keizai.biz/karasuma_keizai/headline/1205302069_photo.jpg)
ロボット技術・マルチメディア技術のニルバーナテクノロジー(京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620)の社長、中津良平さんが4月1日からシンガポール大学インタラクティブデジタルメディア研究所の所長に就任する。同大学が海外から所長を招聘(しょうへい)するのは、極めて異例のこと。
中津さんは1971年に京都大学大学院を卒業後、NTT、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)を経て2001年にニルバーナテクノロジーを設立した。その間、ロレアル賞や人工知能学会論文賞など多数受賞。「ニルバーナ」は仏教の「涅槃(ねはん)」から取ったとのこと。
中津さんは「ゲームやケータイは短い時間で夢中になれる。それは一種の『悟り』の境地に近い。もちろん負の面もあって『魔境』に至ることもある。人を悟りに導く意味でニルバーナと名付けた。人と人、人とコンピューターとのコミュニケーションを研究する上で、『身体性』のあるロボットに興味を持った」と話す。
ICEC(エンターテインメント技術の国際会議)がきっかけで、シンガポール大学の教授と交流があり、昨年の夏に研究所長への打診があったという。「シンガポールは経済的には成功しているが、歴史の浅い国。最先端のメディアを研究しながら、京都の古い文化とつなげ、独自文化の形成をサポートしていく。ニルバーナの成果を大学でも発表したい」と中津さん。慶應義塾大学大学院に4月に新設される「メディアデザイン研究科」との提携も決まっている。
中津さんは、関西学院大学理工学部の教授を3月末で退任し、4月からシンガポール大学に着任する。社としては、シンガポールにも事業所を置き、今後、京都との2拠点体制で取り組む。