大丸京都店(京都市中京区)で12月20日、古布を使ったえとの縁起物の販売が始まった。
縁起物は内裏びなのように座った「おもてなし」、もち花を持った「餅花」、「福辰(ふくたつ)」の3種類。いずれも来年のえとの「たつ」にちなんだ竜をモチーフにしており、戦前やそれ以前の絹の着物などの古布を使う。
作者の岡部至芸光(しげこ)さんは、京都の花街の一つ、宮川町で育ち、人形の製造会社に勤務しつつ、人形作家の松本勝子さんに技法を学んだ。現在は古布を使ったアート作品を制作する。
たつの人形は、金糸に細いワイヤを通してピンと張ったひげを作ったり、人形の着物にはうろこのように見える絞り模様の入ったちりめんを使ったりと工夫を凝らした。鮮やかな色を使うために、古布を悉皆(しっかい)屋(着物の染めや張りなど客の要望に応じて職人に依頼を出す店)で染め替えてもらったという。岡部さんによると京都は悉皆屋が残っているため、染め替えもそれほど高くならなずに済むという。
岡部さんは「さまざまな色や柄を持つ古布との出合いは一期一会。どんな作品のどの部分に使えそうか考えながら布を集めているが、現代住宅にも合うようモダンさも意識もしている。今年は売り場に人も多く、早くも注文を頂いてコロナからの復調も感じる。玄関に飾って楽しい年を迎えてほしい」と話す。
販売は今月31日17時まで。