南座(京都市東山区)で3月3日、桃の節句に合わせて「流しびな」行事が行われた。
流しびなは下鴨神社に境内の御手洗(みたらい)川に、「桟俵(さんだわら)」を流して無病息災を願う行事。今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて中止となった。
南座での流しびなは、下鴨神社と京人形商工業協同組合の協力を得て行った。3月6日から始まる「三月花形歌舞伎」出演者の中村壱太郎さん、尾上右近さん、中村米吉さん、中村橋之助さんの4人が出席した。
小さな人形が乗っている桟俵を受け取り、「かわいい」と4人。舞台にしつらえられた「川」に桟俵を流し、「吉野山」で使われる満開の桜を背景に舞台の袖まで静かに流れていく様子を、手を振って見送り、公演の無事を祈った。
壱太郎さんは「劇場全体が桜満開でお迎えしているので、大変な時期だけれども南座に来て非日常の晴れやかな舞台や空間を楽しんでもらいたい」とあいさつした。
南座の公式ツイッターでは現在、歌舞伎や演目に関する質問を受け付けており、公演冒頭の「歌舞伎の魅力」で役者が回答する企画も行っている。
公演は3月6日~21日まで(12日は休演)。