「ソーシャルキッチン」(京都市上京区)で10月12日、ダンスパフォーマンス「NAKED」の撮影が行われた。
「NAKED」は、秋紀芳慧さんと栃本あずささんで作るパフォーマンスグループ「ayami yasuyho(アヤミヤスヨ)」が今年1月から取り組む作品シリーズ。四方からつり下げられた小さな明かりの中で、無音の中を即興で1時間踊るもの。当初は連続して公演する予定だったが、新型コロナウイルス感染症により会場が休業した影響で、2月以降は中止となっていた。
この日は栃本さんが「うまれる」をテーマに選んだという白い衣装に身を包み、子どもの頃から親しんだクラシックバレエで培った動きなどの作為的な動きを一度捨て、その空間や、湧き上がってきた感情に呼応した動きを展開。フロアを、すり足の音や呼吸の音だけが響いていた。
1時間踊りきった栃本あずささんは「芸術家は何ができるのか、このまま芸術の道を進んでいいのか本当に悩んだ時期でもあった」と明かした上で、「それでもあの時期、誰に見せるでもなく毎日10分間、海の側で太陽の光や海の音、風の中で踊り続ける生活を2カ月続けたことが今日のダンスに生かされたと思う。これから新しい発信方法も模索していきたい」と前を向く。
この日、照明や撮影などを担当した秋紀芳彗さんは「コロナがもたらした変化は僕にとって悪いものだけではなかった。2人とグループにとってこれは『変身』の時だと感じている。作品に触れて、見る人に何か感じるものがあれば」と話す。
作品は11月8日まで特設サイトで動画を配信。同時に今後の活動に対する寄付を募る。