一人芝居「或(あ)る阿呆(あほう)の一生」が3月29日、「響の館」(京都市中京区下松屋町)で上演される。主催は小倉冨義さんが主宰する「グループ空清(からきよ)」。
小倉さんが主演の天津孔雀さんと取り組む舞台の2作目となる同舞台。天津さんは過去に芥川龍之介の晩年の作の一つ「ある阿呆の一生」を朗読劇で演じたことがあるが、今回はこれに同時期の作品「歯車」を基にした台本を作り、小倉さんが演出を担当する。
芝居では死に引き寄せられる芥川龍之介自身の「僕」、それを客観的に見るもう一人の芥川である「彼」が登場する。小倉さんは「自分のことをここまで客観視して描写した上に死の間際に発表できる芥川龍之介は希有(けう)な作家だと思う。そんなことを思って、当初の天津さんの台本はどちらも『僕』となっていたが『僕』と『彼』を別にしてほしいと頼んだ」と話す。
天津さんは「一人芝居は、相手に合わせたり数人でバランスを取ったりといった計算がない。自分を出し過ぎればトークショーになってしまうし、出さなければ天津孔雀がやる意味を失ってしまう難しさがある」と話す。
3月13日の稽古では、通し稽古を行ったほか、前半のテンポやラストシーンの幕引きの演出を調整するなど本番に向けて熱のこもった様子だった。
開演時間は14時~、18時~。料金は前売り・当日とも2,000円。申し込みは小倉さん(TEL 090-9719-9059)まで。