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KIMONOは誰のもの 京都市長が米国のインスタグラマーに手紙を出した理由とは

キム・カーダシアン・ウェストさんが当初商標登録を目指した「KIMONO」のロゴ

キム・カーダシアン・ウェストさんが当初商標登録を目指した「KIMONO」のロゴ

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 米国のタレント、キム・カーダシアン・ウェストさんが自身の補正下着のブランドのラインに「KIMONO」と命名し、米国での商標登録を申請していたが、8月27日「SKIMS」に変更したと発表した。

これまでの経緯のまとめ(京都市に確認の上、烏丸経済新聞作成)

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 この件で、京都市は市長からのメッセージとして3回文書を発表している。烏丸経済新聞では京都市に対し、どのような経緯でこのメッセージが発信されたのか問い合わせ、回答を得た。

 京都市が問題について注視を始めたのは6月26日の夕方頃。SNSで話題になっていることを確認し、その後、着物関係者から投稿内容と「#KimOhNo」のハッシュタグで反対運動が起こっているという連絡を受けたという。

 この問題は産業観光局商工部伝統産業課が対応。日本の人口を超えるフォロワーを有するキムさんのようなインフルエンサーの発信により「KIMONO」に対する誤った認識が世界中に広がることを最も危惧したという。

 同課では「経済活動において『Kimono』という名称を使えればいいという単純な問題では無く、日本人が大切に受け継いできた伝統的衣装であり、文化である「きもの」に誤解が広がることを危惧し、キムさんには世界中の着物ファンの思いを理解いただいたうえで商標登録について考え直していただきたい」と市長の指示の下、文書の素案を作成。

 市長名文書では「きもの」が日本の伝統的な民族衣装であり文化であることを示し、京都市がユネスコ無形文化遺産の登録を目指す取り組みを進めていることにも触れた上で、「KIMONO」の名称が「私的に独占すべきものではない」すなわち、名称を商標登録で一企業が独占するべきではないとして、ブランド名の再考を促した。

 文末には「私たちの強い思いを御理解いただくためにも、『きもの』をはじめあらゆる日本の文化を守り育ててきた京都にお越しいただき、『きもの文化』の神髄に触れていただければ幸いです」と結ぶ。同書面の英語版は日本語版と内容は同じだが「Kimono」を冠した商標の使用を再考するように促す一文を冒頭に置き、日本語版とは構成を変えている。英訳は国際課推進室が行った。

 キムさんは7月1日にツイッターで「新しい名前で補整補正下着ブランドを売り出すことにしました」と投稿。これを受け京都市はキムさん宛てと「世界中の『きもの』ファンの皆様」に宛てた2通を日・英で再び京都市長名でメッセージを送った。1通目のメッセージに対してキムさんから京都市に連絡は無かったが、着物ファンが声を上げ、行動を起こしたことがキムさんに再考を促したと考え謝意を表明するために着物ファン向けの文書を発表した。

 その後市としても弁理士に問い合わせ、米国では商標登録が実績主義なので販売実績がない以上、登録は難しいのではないかという知見を得ていたものの、米国特許商標庁に対する商標取り下げが確認できていないことから同市では新ブランド発表まで注視を続けていた。

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