年賀状の準備に追われるこの時期、京都の長い住所は他府県に住む人にとって面倒とも言え、文字の配置に悩む人も見られる。京都中央郵便局に、この住所は短くできるのか、住所を書く際の注意点も聞いた。
京都の道は、長安を手本に形作られた平安京の街を基礎に、豊臣秀吉が大掛かりな整備をしたことにより、現在のような「碁盤の目」とも呼ばれる東西南北に走る形になっている。通りを使って住所を示す方法はおなじみで、京都のタクシー運転手の中には乗客に行き先を伝えられる際、「町名では分からんから通り名で言って」と言う人も少なくない。
京都の住所で長いのは行政区と町名の間に入る「通り名」を含んだ部分。京都市役所の住所は「京都市中京区寺町通御池上る上本能寺町488番地」。京都市と中京区という行政区が示された後、寺町通と御池通の交差点を北側に行った、上本能寺町の488番地に位置することを示している。
順序は建物(目的地)がある通りが先で、その交差点から北に向かう場合は「上(あが)る」、南は「下(さが)る」、東西の場合は「東入る、西入る」(以上カタカナ表記の場合も)。その後は他府県と同様、町名と番地が続く。
通り名の省略について、京都中央郵便局総務部副部長の古川幸志さんは「郵便局で必要としている住所に通り名は入っておらず、通り名は無くても届く。大事なのは町名と番地」と話す。京都市役所の住所も「京都市中京区上本能寺町488番地」で済むことになる。
ただし「町名はうろ覚えではなく正しいものをしっかりと書いて」と古川さん。「京都市内に同じ町名があることもあって、決められた表記でないと届きにくい場合もまれにあるので、書く前に一度確認してもらえたら。年に1度の新年のあいさつなので、正しい住所で相手に心を伝える年賀状を出してもらいたい」と呼び掛ける。