日本漢字学会が12月1日・2日、京都大学で研究大会を初開催した。
今年3月に発足した同学会は漢字の研究者をはじめ、12歳の小学生から86歳まで224人が所属。2日間にわたりシンポジウムや口頭発表が行われた。
漢検漢字文化研究所所長の阿辻哲次さんの発表「段玉裁のツイート」では、清時代の段玉裁(1735~1815年)の「説文解字注」の中に、「自分は宦官からこんなことを聞いた」という個人的な経験に基づく記述や、出身地の江東の方言による考察があると指摘。「いわば辞書の編さんに個人的な、今でいうツイートのようなものが見られる。当時の学問が身内を中心としたものだということがこれまでの研究では見逃されてきたのではないか。これは調べてみると面白いのでは」と締めくくった。
日本医学界の久具宏司さんは、遺伝形式の「dominant」の訳語「優性」と「recessive」の訳語である「劣性」について「劣っている」と誤解を与えかねないことから、変更に向けて学会内で検討を進めていることを紹介。現在は「顕性」と「潜性」・「伏性」の有力な候補を挙げた。質疑応答では、顕性の反対は不顕性で良いのではないか、二文字以上の熟語になってもよいのではといった意見や質問も出されるなど、活発なやりとりが行われた。