国指定重要文化財「杉本家住宅」(京都市下京区綾小路新町西入矢田町、TEL 075-344-5724)で10月12日、米蔵修理記念式典が行われた。
杉本家は寛保3(1743年)創業の呉服商で、母屋は蛤御門の変1864年)の際に焼失し、明治3年に再建された。
奈良屋杉本家保存会によると、米蔵は明治16年以前に作られたといい、米蔵を持つ京都市内の町家はほかに例がないという。着工当初は小規模工事になると見られていたが、腐食やシロアリの害など損傷が激しかったため、約3年にわたる大規模工事となった。工事費は約3,400万円で、国や府からの補助金のほか、寄付金は約500万円が集まった。
式典では同保存会代表理事の杉本千代子さんが「建設当時の方法を使って修繕されていく様子を見るのは幸せだった」とあいさつ。その後、寄付をした人たちに米蔵内部を公開した。
この日は料理研究家の杉本節子さんが自家製の梅干しと京のプレミアム米を使ったおにぎりを振る舞った。
岐阜から駆け付けた柳瀬宏明さん、玲子さん夫婦は「テレビで見て興味を持ち、もう何度もここに足を運んでいる。古いものをできる限り維持しようというパワーが素晴らしい」と話す。
13日は米蔵の歴史についての講演「杉本家古文書からわかるお米の話」が行われる(要事前申し込み)。