KDDI京都事務所(京都市中京区)で3月20日、自転車の「ながらスマホ」に関する実証実験の結果が発表された。主催はKDDI(東京都千代田区)とナビタイムジャパン(同港区)、au損害保険(同渋谷区)。
京都は今年4月1日から自転車保険加入義務化することに合わせて行われた同実験。京都府の協力で、府庁舎前の駐車場に自動車や三角コーンの間を歩行者が横断する約50メートルのコースを作成。学生11人が自転車を普通に乗った場合とスマホを操作しながらの場合、さらにスマホ操作をしながらイヤホンを装着した場合の3パターンの視野映像を分析した。
9人の平均を出したところ、歩行者の見落とし率は通常時は1.3回だったのに対し、スマホ操作時は5割増しとなる2.0回に増加。歩行者を認識するまでの時間も通常時の1.0秒から1.7秒まで遅くなった。監修を担当した愛知工科大学の小塚一宏名誉教授は「0.7秒の差は時速10キロだと約2メートルと相当な距離。『ながらスマホ』の危険性を数値で示すことができた」と話す。
この日は同プロジェクトが開発した「自転車ながらスマホ」時の視野や反応速度が疑似体験できる「自転車ながら運転体験VR」も公開された。京都女子大学の学生が歩行者をスマホのメッセージを見ながら歩行者を避けるためにブレーキを掛けるといったVRを体験した。
プロジェクトを担当したKDDI CSR・環境推進室長の鳥光健太郎さんは「近年、自転車事故が死亡事故になったり、加害者1億円近い賠償命令が出たりするなど社会問題化している。誰でも免許もなく使える身近な乗り物だけに、危険性をより具体的に感じられるVRコンテンツにした。今後も啓発活動を進めたい」と話す。
実証実験の結果や動画はウェブ上でも公開する。VR体験は4月6日に岡崎公園で行われる「春の全国交通安全運動スタート式」で体験できる。