京都迎賓館(京都市中京区)が9月4日・5日、体験型参観「菊花彩る重陽のおもてなし」を初開催した。
京都迎賓館は京都御苑内に設けられた国の迎賓施設。開館は2005年で、今年12年目を迎える。2011年にブータンから初来日したワンチュク国王夫妻を迎えたほか、直近ではイギリスのメイ首相の来日時に利用された。
今秋の参観では賓客とほぼ同じ体験ができる企画を用意。始めに「藤の間」で金剛流が能楽を披露。曲は重陽の節句の由来となった物語にちなむ「枕慈童」。「夕映の間」では茶道裏千家が立礼式で呈茶(ていちゃ)を行った。この日用意されたお菓子は「着せ綿(きせわた)」。重陽の節句(9月9日)の前日にキクの花に綿をのせ、露を吸った綿で体を拭くと長寿になるという言い伝えにちなんでいる。そのほか、待ち合いなどに使われる「聚楽の間」や和食を提供する際に使われる「桐(きり)の間」、初公開となる「滝の間」に庭園をガイドの案内を受けた。
今回の企画では特別に、正面玄関のほか随所に京都いけばな協会に所属する流派によるキクの花を使った花が生けられた。18時からは自由参観で巡る夜間公開も実施。池に架かる廊橋(ろうきょう)から、障子越しの淡い光が池に映っていた。
同館担当者は「観光に国として力を入れている今、京都迎賓館が海外からのお客さまに対してどのようなおもてなしをしているのか知ってもらう機会になれば」と話していた。