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明倫学区で祇園祭「二階囃子」の見学会 新旧住民が祭の取り組みを共有

南観音山の囃子を聞く参加者

南観音山の囃子を聞く参加者

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 祇園祭で多くの山や鉾(ほこ)が建つ明倫学区で7月2日、浴衣で「二階囃子(にかいばやし)」を見学する会が行われた。主催は明倫まちづくり委員会(京都市下京区)。

自分の膝を太鼓にしてリズムを打つ「膝太鼓」

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 明倫学区はマンションが増えたことで、8割が新しい住民が占めるという。同会では町の文化を知ってほしいという思いから、5年前から「二階囃子」を通じて祭りを紹介するイベントを企画。呉服店が並ぶ「着物の街」でもあるため、浴衣での参加を呼び掛けている。同会会長の長谷川明さんは「昨年に続き定員を超える多くの人に関心を持ってもらいうれしい」とあいさつした。

 二階囃子とは、吉符入(きっぷいり)が始まる7月1日以降から巡行までの間に行われる囃子の練習のことで、鉾や山と同じ高さの会所の2階で行われることからこの名が付いたという。「南観音山」が出る百足町の小島冨佐江さんは、「明倫学区では山や鉾をお迎えする幔幕(まんまく)や提灯(ちょうちん)を下げて町内を整えようと呼び掛けている。鯉山と黒主山(くろぬしやま)では最近、提灯立てを戻すなど、きれいな景色が戻ってきる」と町の取り組みを紹介する。

 鯉山保存会の赤江又三郎さんは、2008年に上京区から鯉山町内のマンションに引っ越した「新住民」だ。祭りの運営に誘われたことをきっかけに「年休をすべてつぎ込んで参加した」ほどのめり込み、資料を読み込み、保存や継承に関わり5年たって保存会に推挙されたという。「鯉山は学生アルバイトにかき手を依頼していたが、最近は町内の人がかき手として参加することも増えている」と笑顔を見せる。

 解説と紹介が終わると最初に一行は菊水鉾の会所へ。「コンチキチン」の音色で知られる鉦(かね)は囃子方が最初に学ぶ楽器で、一人前になるには10年ほどかかるという。「太鼓は最初からバチを持たずに『膝太鼓』で2年から3年修行する。それでもバチを持ってもすぐには打てないもの」と同保存会代表の川塚錦造さん。菊水鉾の囃子方の最年長は82歳で、75年囃子方をしているという。

 この後、新しくなった南観音山の会所や、北観音山の会所でもそれぞれの囃子と、曲の紹介や、稽古についての説明を受けた。後祭りの7月24日に合わせて24日に稽古をする北観音山では「どれくらい稽古をするのか」と参加者に聞かれ、「12月24日はクリスマスイブなので若い人が来ないから休み。本格的な稽古は4月から始まる」と答え、参加者を笑わせていた。

 滋賀県出身で現在、北観音山の近くに住む安原成美さんは「風に乗って聞こえてくる囃子と、間近で聞く囃子とでは迫力が違った。菊水鉾では譜面を使わずに口伝で伝えてきたと知り、伝統の『重み』を感じた。二階囃子の見学ができるとは知らなかったし、近づきにくいイメージがあったが、ある程度開かれていることが分かったのもよかった」と話していた。

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