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京都で「町公認」居酒屋の仕掛け人講演 店員が町をPRする理由とは

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 京都ホテルグランヴィアで9月30日、「アンテナショップ型飲食店」を15店展開する「fun function」の合掌智宏さんが講演を行った。主催は「ぐるなび」。

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 「fun function」は、東京八重洲のアンテナショップが立ち並ぶエリアで「北海道厚岸(あっけし)酒場」「北海道八雲町酒場」といった町名を冠する「町公認」の居酒屋を展開。名産を使った料理を提供している。店に入ると各町長の顔写真入りのあいさつ文が客を出迎え、同店スタッフが客に町の魅力を紹介している。

 合掌さんがアンテナショップ型店をはじめたきっかけは、「北海道の八雲町に転勤した友人から送られてきた魚」という。そのおいしさに感激したことから、八雲町の魚介を使った店を出したいと企画したが、それだけではインパクトに欠け他店とも差別化できないと考え、「町公認のアンテナショップ」をコンセプトにした店を企画した。

 「つても何も無かったが、テレアポでプレゼンの機会を得た」と合掌さん。店で町のPRをする代わりに八雲町の漁協から店に直接仕入れができないかと町長に説得を試みた。「町長さんも、東京から突然電話してきて『こいつ何者だ?』と思われたはず」と振り返る。しかし、アンテナショップが並ぶ八重洲の立地や東京との流通ルートを持たない町との利益が一致。町の公認も後に得られたほか、魚介だけでなく、農産物などの取り扱い商品の拡大にもつながった。

 最近のプロジェクトは、合掌さんの地元である福井県美浜町。サバで知られる同町から「活け〆」や「神経〆」など鮮度を保つ方法などの提案があったが「差別化が足りない」と断った。同町からの再依頼を受け、美浜町には、ぬかを使う「サバへしこ」や塩蔵による「塩ブリ」など熟成魚文化があることを背景に「美浜熟成魚」を逆提案。町が受け入れて話がまとまった。町の研究所などの協力を得て、恒温恒湿の状態で熟成させる方法でうま味を増す技術を1年以上かけて完成させた。

 合掌さんは「町のブランディングをすることが店の価値を上げることになる。日本中にまだ知られていない食材やそれを売り出したい自治体がたくさんある。生販直結型の六次産業化がモデルとなっていくはず。今後も、新たな仲間を増やしていきたい」と意気込む。

 同日、全国の生産者と飲食店経営者に向けた展示会も行われ、来場者たちは熱心に食材の味や製法を確かめていた。

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