東本願寺(京都市下京区)前の緑地帯で8月1日、「京都・食とアートのマーケット」が開催された。
イベントでは京都府内の農協や飲食店が出店した「食」、手作りの雑貨などの「アート」、京都府警の特殊車両を紹介するなどした「防災」をテーマに、36のブースが出店した。
「東本願寺と環境を考える市民プロジェクト」は「本願寺水道」を紹介した。この水道は、明治後期となる1897(明治30)年に火災の延焼を防ぐために設けられ、蹴上から同寺まで約4.6キロメートルをフランス製の鋳鉄製の管でつなぐ。高低差を利用して送水しており、同寺の境内にも水が噴き出すような消火設備として独自に整備されたほか、堀の水を補う役割も果たした。現在は、管の老朽化により2008年から送水を止めている。
10時からは、東本願寺の外周に設けられた堀の中に入ってごみや、生物を捕まえて調査する「お堀探検」も行われた。本願寺水道からの送水が止まる前に堀に入り、繁殖したとみられる外来魚「ブルーギル」とみられる稚魚も捕まり、水槽に展示された。ブルーギルは琵琶湖で問題になっており、水道と琵琶湖の関係を表している。
現在の管の内側に劣化しにくいポリエチレン管を通すことで、本願寺水道の復活の可能性を研究する立命館大学防災研究所の金度源(キムドウォン)さんは、「本願寺水道は、当時としても非常に先進的な取り組み。現在においても学ぶところがあり、多くの人に知ってもらいたい」と話していた。