元立誠小学校(京都市中京区蛸薬師通河原町東入)で4月14日、「FUKUSHIMA ART プロジェクト×福島∞京都 展」のシンポジウムが行われた。
福島県いわき市出身の美術作家、吉田重信さんの呼び掛けで始まった同プロジェクト。いわきで収録したインタビューをまとめた「IWAKI-心のことだま」のほか、京都の作家の作品を展示した。昨年から継続して行われている「光の鳥プロジェクト」では、赤と青の「光の鳥」が描かれた絵はがきにメッセージや絵を添え、自分へ郵送する(=飛ばす)。昨年は約4000枚が飛び立った。
吉田さんは当日のシンポジウムで、これまでの取り組みを紹介。ちひろ美術館・東京(東京都練馬区)では、自分だけでなく、被災地の学校にメッセージを送りたいと申し出る男児や、野田総理宛てにメッセージを書く人も。原発問題について福島の地方紙「福島民報」の記事を使い紹介。全国紙では今年の3月11日以降、大きな異常がなければ報道が無くなっていることにも言及した。
出展作家を交えての座談会では、作家で、高校の美術教師を勤める中屋敷智生さんが「京都の近くにも原発がたくさんあり、知っていて知らんふりすることはできない。こうして勉強できるということを考えてほしい」と生徒に話したエピソードを紹介。吉田さんは「福島で起こった危険は関西にもあり得ること。今どうすべきか、という意味で福島のことを忘れないでほしい」と訴えた。「こうして福島の外で語りの場を設けることが僕のすべきことだと思う」とも。
5月7日に京都造形芸術大学(北区)で吉田さんの講演会を予定。プロジェクトは翌8日のアーティストロング(中京区)を経て大阪、長野、いわき市への巡回を予定する。