蹴上の「アートスペース 虹」（京都市東山区三条通神宮道東入る、TEL 075-761-9238）で現在、米ニューヨーク在住の中国人アーティスト、ジェニファー・ウェン・マさんの作品展が開催されている。

　同ギャラリー30周年記念展でもある今回。当初は、ジェニファーさんの墨絵を使った作品の展示を予定していたが、ジェニファーさんが京都の寺社を回りインスピレーションを得たことから、新作を展示することになった。

　ギャラリー中央にコケむした巨石を置き、穴を空け墨で満たす。墨の池には、白い絹の生地が浮かべられている。そこにジェニファーさんが筆でゆったりと波線を描く様子が映し出される。壁には額に見立てた12個の箱を設け、黒く墨で塗られた小さなしだれ桜が並ぶ。黒く塗られ「墨絵のよう」な桜から少しずつ花が咲き、葉が芽吹く。季節とともに変化していく桜と、じっと動かない巨石を対比させた。「墨で波を描く画像は時の移ろいを感じさせるのでは。『時間』は作品のテーマの一つ」と同ギャラリーの熊谷寿美子さん。

　今回、震災の影響でジェニファーさんが来日を辞退せざるを得なくなり中止も考えたという。ジェニファーさんとの話し合いの末、「中止してしまえば何も生まれない。ならば、開催してお金を集めて被災地に送れたら」と開催と収益の全てを義援金に充てることを決めたという。

　「成り行きで『うかうか』始めてしまったギャラリー。作家さん、お客さんをはじめとした多くの人に支えられて30年続けてこられた。できる限りこれからも続けていきたい」と熊谷さん。

　開催時間は11時～19時。月曜休廊。今月30日まで。