「京都の台所」として親しまれている錦市場近くに文化施設「京町家 錦上ル」(中京区麩屋町通錦小路上ル梅屋町、TEL 075-257-7666)がオープンして4カ月がたった。運営は、京都文化協会(下京区)。
京都市や京都国立博物館と提携し、小学校で高精細なレプリカを使った授業を行っている同協会。多くの学校から依頼があるものの、人手が少なく毎年7校しか実施できないことや、一般の人に文化財を身近に感じてもらいたいと「文化発信拠点」として同施設をオープンした。今年400周年を迎える錦市場と提携し、食文化も体験できる施設となった。
同施設は大正時代に建てられた2階建ての京町屋で、敷地面積が約95平方メートル。畳敷きの大広間と個室を合わせて30席とテーブル席の個室に15席設ける。大広間には、学芸員の人でも間近で見ないと本物かわからないほど高精細な葛飾北斎の浮世絵や、円山応挙の屏風(びょうぶ)のレプリカが飾られている。
昼はイートイン施設、夜は錦市場の味が一度に楽しめるダイニングになる。イートインは錦市場で購入した総菜であれば持ち込み可能。フードまたはドリンクの1オーダー制で総菜の温め、切り分け、盛りつけに対応する。昼はご飯とみそ汁のセット(540円)や、ダシ茶漬けのセット(432円~)が人気。利用者のほとんどが観光客で、幅広い年齢から支持されているという。料理長が日替わりで特徴のある伏見の酒3種類を組み合わせて提供する「飲み比べセット」(1,200円)も人気が高いという。
夜は錦市場の提携店と同店の料理長が共同開発したメニューを提供する。メニューは店主の紹介が写真付きで紹介。今の時期は、京野菜の田楽(432円)や明治45年創業の川魚店「のとよ」のアユの塩焼き(756円)などが人気で、季節ごとにメニューが変わる。コース(3,500円~、要事前予約)も用意する。
旅行会社と連携し、和ろうそくの明かりで浮世絵や屏風を見ることで、江戸時代の見え方を再現する食事付きツアーなど美術館ではできない企画も始めた。来年からは、京都の食文化や錦市場の歴史などを学ぶ食文化体験のできる修学旅行生向けのプログラムも行っていく予定という。
「少しずつ観光客の方に浸透してきた一方で、錦市場の店の方にも飲みにお越しいただいているのもうれしい。京都の文化が一度に体験できる施設として利用してもらえたら」と同施設支配人の松本萌さん。
営業時間は、イートイン=11時~16時30分、ダイニング=17時30分~22時。月曜定休。