京都産業会館(京都市下京区四条通室町東入る函谷鉾町)で3月30日、反物巻き選手権「巻王 MAKI-OH」が行われた。主催は「きものステーション」と京都織物卸商業組合。
同組合は、同館内の「きものステーション」で、さまざまな業種が参加する組合員向けに各分野の専門知識を知るワークショップで技能の向上する取り組みを続けてきた。同館が31日に閉館するのを前に、最後のイベントとして着物の街「室町」のナンバーワンを決める企画を立てた。
ルールは、3丈(約13メートル)の丹後ちりめんの生地を巻き終える順位と、巻きの美しさの評価点の合計で競う。「きものステーション京都」運営委員会の副委員長の田上智一さんは「この長さの反物が巻けるのはこの業界の人だけ。業界のプライドと社運を掛けて頑張ってほしい」と選手にげきを飛ばした。
この道60年のベテランから1年目の新人まで25人が参加。イメージトレーニングで「エア反物巻き」をしたり、ジャケットを脱いだりして勝負に臨んだほか、観客席からも「いけるぞ」「はよいけ」などと声援が飛んだ。
選手たちは「タケノコ」(片方がとがってくる)や「ニョッキ」(巻きが甘く、つぶれた形になる)にならないように気にしながら一心不乱に生地を巻いた。試合では、好タイムとなる30秒台で同タイムが出るなど好勝負も生まれた。
優勝したのは染呉服製造卸で、衣棚姉小路上るに店を構える「北川」の河村雅文さん。スピードスターと呼ばれるほどの早さと、回を重ねるごとに美しさも安定させたことで勝ち抜いた。惜しくも2位になった繊維商社「松村」の平山正記さんは「これまでに無いくらいに悔しい」と話しながらも河村さんと固い握手を交わし、互いの健闘をたたえ合った。
田上さんは「思った以上に観客も集まり、盛り上がりを見せた。産業会館は明日で建て替えになるが、その間も他の産地の方を巻き込んで対抗戦にして『巻王』は続けていきたい」と意気込む。