京都国立博物館(京都市東山区)で7月7日、10月7日から始まる「国宝鳥獣戯画と高山寺」展で展示される「鳥獣人物戯画」が報道陣に公開された。
鳥獣人物戯画は、全4巻からなる絵巻。ウサギやカエルをはじめとした動物が描かれた甲乙巻については平安時代に制作され、人物と擬人化された動物を描いた丙巻と、人物のラフスケッチが中心となる丁巻については鎌倉時代に制作されたと考えられている。同館では、09年から昨年3月まで同画の補修を実施。前回に補修されたのはおそらく江戸期と見られている。今回は裏打ち紙の取り換えや、縦折れを防ぐために巻子本の径を大きくするなどの補修が施された。
丙巻から特徴的な墨の汚れが、丙紙のほかの紙にも一致していることがわかった。これにより、1紙~20紙まである現在の姿は、かつて両面に描かれていたものを2枚に?いで、1巻に仕立て直したという新知見を得た。片面には人物画、もう片面には動物画が描かれており、欠損や虫損などが一致することから損傷がかなり進んだ時期に?がしたこともわかるという。
展示では、補修による発見の解説や、写本もあわせて紹介する予定だという。「動物の人間くさいしぐさや、生き生きとした動きは、制作されてからずっと人気だったことがわかる。紙の継ぎ目には、割り印のように高山寺の印が押されているが、これは盗難や散逸を防いだと思われる。4巻が一度に見られるのは珍しい機会なので見逃さないでほしい」と同館学芸員の赤尾栄慶さん。
入場料は一般=1,500円、大学生=1,200円、高校生=900円。中学生以下無料。開催時間は9時30分~18時(金曜は20時・最終入館は各30分前)。月曜定休。(10月13日、11月3日、24日は開館し、10月14日、11月4日は休館する)11月24日まで。(展示替えあり。前期10月7日~11月3日、後期=11月5日~11月24日)