京都大学の「こころの支援室」が現在、震災に関連して関西圏に移住してきた家族・子どもを対象に8月17日に行われる「天体観測ツアー~空を見上げて~」の参加者を募集している。
震災後、同大学院教育学研究科の皆藤章教授が呼び掛けて立ち上げた同施設。5月9日から教員や院生を中心として震災によって心理的ストレスを受けた人を対象に、個別相談や電話での相談に応じている。
しかし「なかなか電話は鳴らなかった」と皆藤教授。「被災地に住む方は、日本の中でも実直で誠実、我慢強い方が多く、相談する自分を弱いと感じてしまい、相談したいと感じていながらもその一歩が踏み出せないことが多いようだ」。そのため、別の形で相談できる機会が必要だと感じていたという。
そうした中、イベントの開催の契機となる出会いがあった。それは4月28日に同学内で行われた「大規模自然災害対策・復興 全学大会議」。専門を超えて復興のために知恵を出し合おうというもの。「その中の幸福感と人生観の変化をテーマとした分科会に、花山天文台の磯部洋明先生や総合博物館や宇宙総合研究ユニットの先生など多くの理系の方が参加していた。そのときに支援室の話をしたところ協力して何かできたら、という話になった」
当日は、花山天文台で太陽の黒点やプロミネンスなどを見るほか、4Dデジタル宇宙ビューアの上映、交流会を予定する。「僕たちが保護者の方に『何か不安はないですか』と話をしやすいようにしたい。子どもにとっても直接的な相談事がなくても、夏の思い出として楽しんでもらうことで気持ちが和らげば。イベントをきっかけに被災地から移住してきた人のコミュニティーができればいいし、今回の様子を見て今後もこうした取り組みを続けていきたい」とも。
申し込みはメールで受け付ける。参加費は無料。定員20人。(定員に達したため、8月1日で受け付けは終了)