プレスリリース

集英社マンガアートヘリテージ、荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』のアートプリントをサンフランシスコで発表。11月、京都・東本願寺に巡回。

リリース発行企業:株式会社集英社

情報提供:


荒木飛呂彦「空条承太郎/スタープラチナ」リトグラフ作品を用いた展覧会キービジュアル


リトグラフ作品

2025年6月より、荒木飛呂彦は、9点のリトグラフプリント作品を描きました。

リトグラフは、200年以上の歴史を持つ版画技法です。日本語訳として「石版画」があてられるように、石に描画したイメージを紙にプリントする技術として始まりました。高度な技術をアーティストに要求するエッチング(銅版画)と異なり、技術的にはより容易にイメージを複製できることから、工業的な技術として使われ始めます。19世紀以降、エドガー・ドガ(1834-1917)らが着目し、刷師と共同で、この技法でしか作りえないユニークな版画作品を制作したことから、美術作品として認められはじめました。

現在の印刷が、原画を写真撮影もしくはスキャニングしたうえで印刷用の版を作成するのに対し、リトグラフでは版そのものにアーティストがイメージを描きます。現在では、石ではなく金属版にイメージを描くことが多く、今回も金属版を使用していますが、版に直接、作家がイメージを描くことは変わっていません。このため、リトグラフ用の鉛筆やチョークで描かれたイメージは、直接、紙に描いたかのような質感をもって、紙に転写されます。

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』は、1986年、「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートしました。現在、「ウルトラジャンプ」で、第9部となる『ザ・ジョジョランズ』が連載中です。第3部「スターダストクルセイダース」で発現する「幽波紋=スタンド」は、常にその持ち主に寄り添い(Stand by Me)、戦います。その姿は、人間に近い姿をとることもあれば、液体、気体、機械のように様々な姿をとりえます。

今回、荒木飛呂彦が初めてリトグラフ作品を描くにあたり選んだのは、次のキャラクターとスタンドです。

空条承太郎/スタープラチナ
DIO/ザ・ワールド 
東方仗助/クレイジー・ダイヤモンド
ジョルノ・ジョバァーナ/ゴールド・エクスペリエンス
空条徐倫/ストーン・フリー 
ファニー・ヴァレンタイン /D4C (Dirty Deeds Done Dirt Cheap)
岸辺露伴/ヘブンズ・ドアー
広瀬康穂/ペイズリー・パーク
ドラゴナ・ジョースター/スムース・オペレイターズ 

通常、マンガの本文はモノクロで描かれます。その絵は、製版の過程で、はっきりした黒と白の2値データ化され、活版輪転印刷でプリントされます。すなわち、鉛筆や墨の濃淡は再現されません。

今回の作品では、リトグラフ用の鉛筆とチョークが用いられ、作家が描いた線がそのまま再現されます。一度描いた線は消しゴムなどを使って消せないこともあり、アーティストは緊迫感を持って手を動かすことになります。一方、我々はそこに、ゆったりと伸びる描線のたくましさや、すっと伸びる線の正確さと心地よさ、ざっくり粗く描かれたシャドウのリズムなどを感じることができるのです。

版画は、板津悟(善福寺石版画工房)が担当。9作品、各100部が制作されます。


レンチキュラー作品


荒木飛呂彦「空条承太郎/スタープラチナ」レンチキュラー作品のイメージ


レンチキュラープリントは、シート状の「レンチキュラーレンズ」を貼り、イメージをアニメーションさせたり、立体的に見せたりするプリント技法です。今回の作品では、イメージを立体的に見せる技法を用いています。

人間の両眼が持つ視差を利用することで立体視を実現するレンチキュラープリントは、単眼であるカメラの撮影ではその効果を再現することができません。人がその両眼で見たときにのみ、最大の効果を持って現出するのです。パララックス(視差)バリアとして知られるこの技術は、100年以上の歴史を持ちます。1915年にはアメリカで特許出願された記録があり、1940年代にはパリで3Dレンチキュラーのプリントサービスを行うスタジオが開業。60年代にはカラーのレンチキュラープリントの大量生産が可能となり、爆発的な人気を得ました。絵葉書などお土産として作られるものが多かったところ、大画面のプリントの作成も可能になったことで、ファインアートのプリント作品にも用いられることになりました。

今回、第1部~第9部の主人公の印象的なシーンを横幅約1メートルのサイズで作品化しました。

第1部 ジョナサン・ジョースター
第2部 ジョセフ・ジョースター
第3部 空条承太郎/スタープラチナ
第4部 東方仗助/クレイジー・ダイヤモンド
第5部 ジョルノ・ジョバァーナ/ゴールド・エクスペリエンス
第6部 空条徐倫/ストーン・フリー&エルメェス・コステロ/キッス
第7部 ジョニィ・ジョースター/タスク ACT4 
第8部 東方定助/ソフト&ウェット 
第9部 ジョディオ・ジョースター/11月の雨(ノーヴェンバー・レイン)

近寄り、遠ざかり、左右に歩きながら、瞬間であるはずのシーンを、拡張された時間のなかで鑑賞する。マンガという表現形式とレンチキュラープリントの技法が結合した、新たな体験が得られるはずです。

本展は、サンフランシスコ展示のあと、11月に京都で行われるACK 2025にあわせ、東本願寺・白書院に巡回します。また集英社マンガアートヘリテージウェブサイトにて、順次抽選販売を開始予定です。

Hirohiko Araki JoJo’s Bizarre Adventure
Lithograph & Lenticular Works

2025年9月27日~10月25日(日・月曜休廊)
Minnesota Street Project
1275 Minnesota St. and 1150 25th St., San Francisco, California 94107, USA
https://minnesotastreetproject.com/

ミネソタ・ストリート・プロジェクト
アメリカ、サンフランシスコの南。倉庫を改装し、複数のギャラリーやスタジオ、レストランが入るスペースとしてリノベーションした。2016年オープン。今回展示を行うのは、中央のスペース。*田名網敬一「TANAAMI!! AKATSUKA!!」展を同時開催。

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』
リトグラフ&レンチキュラー ワークス
東本願寺・白書院(京都)

2025年11月14日(金)~16日(日)
大人 1800円  中・高校生 1200円
*完全予約制となります。2025年9月9日(火)13:00~販売開始予定。こちらからチケットをご購入ください。
https://mangaart.jp/ja/exhibitions/jojo-kyoto-2025/


荒木飛呂彦
1960.6.7- 出身地:宮城県
1980年、『武装ポーカー』で第20回手塚賞に準入選し、「週刊少年ジャンプ」でデビュー。1986年から同誌で『ジョジョの奇妙な冒険』の連載をスタートする。日本国内のシリーズ累計発行部数は1億2000万部を超える。2025年現在、「ウルトラジャンプ」に『ザ・ジョジョランズ』を連載中。
2009年、ルーヴル美術館の企画展に参加。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(Rohan au Louvre)を発表。2013年には、全世界のGUCCI直営店でコラボレーションワークが展開される。2018年、国立新美術館(東京)で「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」を開催。現役のマンガ家の個展が国立の美術館で開催されたのは、これが初めてである。

集英社マンガアートヘリテージ
https://mangaart.jp/ja

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