京都のガイドツアーなどを企画する「北野界わい創生会」の鳥井光広さんが10月3日、北野や西陣の歴史を時代ごとにまとめた「京洛人が何世代も隠し通した文化伝承の闇 北野・西陣・最後の秘境 フロンティア」を出版した。
鳥井さんは実家の商店がある北野商店街の活性化のために2007(平成19)年に歴史の調査を始めた。
「まとまった資料が見つからなかったので、ないなら調べてみよう、と地元の生き字引に話を聞いたり、図書館や資料館に通ったり、古書店で本を購入したりするうちに『沼』にはまっていた」と鳥井さん。「このエリアがまさに文化や経済、芸能の分野などで『日本の中心』だった時代がある。大丸や高島屋といった百貨店もあったし、今出川通りには大手の銀行がずらりと並んでいた時期もある。撮影所があったことから今は観光客が入る居酒屋も、映画スターや監督、制作陣が出入りしていた時期があった。当時の豪快なエピソードを聞くのは楽しい取材だった」と振り返る。
2019年にはNHK総合テレビの「ブラタモリ」に北野・西陣の第一人者として出演。そうして集めた膨大な資料は残さないといけないと決意。「僕がしゃべらないと、資料が闇に消えていく怖さがあった」といい、1年半かけて執筆し、出版社にかけ合い、発刊にこぎ着けた。
鳥井さんは「学生さんなども含めて多くの人に楽しんでもらえると思う。興味の出てきたことがあれば実際に訪れて深掘りしてみては。これ一冊あれば北野と西陣のガイドになれる」と笑顔を見せる。
四六サイズ判、230ページ。価格は1,760円。