京都造形芸術大学(京都市左京区雨瓜生山)で9月5日、講演「Innovation Masterclass in Kyoto」が行われた。主催は電通(東京都港区)。
ロンドンにあるイギリス最古の歴史を持つ王立美術大学「Royal College of Art」(以下、RCA)と同じ内容を受講する企業幹部向けプログラムで、同講演のみ一般聴講が認められた。
RCAは、QS社が作成した世界大学ランキングで、2015年から5年連続でアート・デザイン分野1位を獲得している。人気家電で知られる「ダイソン」の創業者、ジェームズ・ダイソンさんを輩出したことでも知られる。
この日はRCAのジェレミー・マイヤーソン教授が「Wellness社会とこれからのイノベーション」をテーマに基調講演を行った。マイヤーソン教授は、「現在マイナスにフォーカスしている高齢化モデルを変える必要がある」と指摘。教授が監修した新しいモデルの一端を示す「ニューオールド」展や「共感観察」と呼ばれる、徹底的に人の生活を観察し、当事者の立場となって考えることで解決策を考える手法を紹介した。
基調講演の後は、京都造形大の小笠原治教授と予防医学研究者の石川善樹さんとのパネルディスカッションが行われた。小笠原教授は「『少子高齢化』と言うが、少子化はアジアのほかの国の方が進行している。まず日本は高齢化にフォーカスし、それから少子化に注力しないとその子たちが育っていく100年先が作れない」と話した。
石川さんは「日本に来て力強く未来を語られる60代の(マイヤーソン教授の)姿を見て、私もこうなりたいと感じた。1800年代の平均寿命は29歳。これほど飛躍的に伸ばした生物は人間しかおらず『大成功』と言えるが、寿命の長さより人生のクオリティをどうするかが問題になっている」と話し、「データ」「ナレッジ」「イノベーション」というアプローチを使い、目や言葉に関する研究を紹介した。
同講座の受講生は6日、「engawa KYOTO」(下京区)でマイヤーソン教授とのセッションを行う。