トークイベント「京の染織と絵画祇園祭との関わり」が6月25日、南観音山の向かいにある「ホテルインターゲート京都 四条新町」(京都市中京区)で行われた。
イベントでは南観音山を飾るつづれ織り「龍王(りゅうおう)渡海」の原画を手掛けた日本画家・加山又造の孫の加山由起さん、着物の図案を取り入れた洋服ブランド「SOULWORK」を立ち上げ、加山又造の作品をあしらったカットソーやTシャツも手掛ける東家雅子さん、南観音山保存会の鈴木昌和さんが招かれた。
加山由起さんは、龍竜の絵の制作を「東京画壇の人間が京都の先輩後輩を差し置いて描けない」と固辞したが、町内の強い意向で制作することになったことや、普段は作品を自賛することのなかった祖父が、南観音山に飾られたつづれ織りを前に、当時小学5年生だった由起さんに「すごいでしょう」と話したという思い出を披露した。
南観音山の会所に飾られた、原画とつづれ織りの鑑賞会も行われた。同山保存会前理事の鈴木昌和さんの案内で、龍竜の目には京セラの人口人工ルビーがはめ込まれていることや、加山又造生誕100年にあたる当たる2027年に、格(ごう)天井にうちわ絵「四季草木図」を入れることを目指した取り組みについても紹介した。囃子方はやし方が使う鉦(かね)も持参して、実際に「コンチキチン」と鳴らしてみせた。
東家さんは、パリ万博をきっかけに日本の浮世絵や着物がヨーロッパで人気となり、絵画やガラス、ファッションに大きな影響を与えたことや、祇園祭で多くの山鉾山鉾(やまほこ)が海外で織られたタペストリーを装飾に使うなど、相互に影響を与えてきたことに触れ、自身の活動と絡めて「ものづくりのケミストリーを絶やさずに活動していきたい」と締めくくった。