京都国立博物館(京都市東山区)で9月29日、「京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ」が始まる。
京都国立博物館初となる刀剣特別展。平安時代後期に生まれた三条派から平成まで連なる山城鍛冶の系譜を総括する。同時に、京都の刀に影響を受けた・与えた作品も網羅する。日本最古と来(らい)派の鑓(やり)や、「光徳刀図絵」の付属、本阿弥光徳の「銘尽(めいづくし)」の写本といった初公開の作品も展示する。
京都の町衆との関わりを紹介する章では、祇園祭の前祭巡行で先頭を行く長刀鉾町に伝わる平安城派(後三条派)長吉作の長刀(なぎなた)を展示。事前調査で天文法華の乱(1536年)で強奪された長刀が、石堂派の鍛冶・助長により買い戻され、八坂神社に奉納の形で返却したことがわかる銘が入っていることが判明した。主任研究員の末兼俊彦さんは「長吉作が正しかったことに加え、その所在地が明らかになった史料としても貴重な作品」と話す。
祇園祭の後祭巡行で「くじとらず」で先頭を行く橋弁慶山(はしべんけいやま)から、牛若丸の人形と付随する太刀を展示。銘から信国派の刀工とみられるが、主流派は九州に移住しているが、京都にもまだ信国派の工人がいたことがわかる。展示では人形は巡行用の木製の太刀を持っている。
隣接する明治古都館では「刀剣乱舞-ONLINE-」とのコラボレーションで等身大のパネルや描き下しのイラストを展示するほか、オリジナルグッズの販売を行う。
開催時間は9時30分~18時(金曜・土曜は20時)。月曜休館。チケットは、一般=1,500円、大学生=1,200円、高校生=700円、中学生以下無料ほか。最終入館は閉館30分前まで。11月25日まで(期間内に展示替え有り)。