京都コンサートホール(京都市左京区)で2月28日、同館初となる避難訓練コンサートが行われた。
防災の意識向上や、実際に観客を入れた状態での誘導態勢確立のために行われた同イベント。来場者には訓練の流れを説明した上で、京都市消防音楽隊の演奏中に地震と火災が発生したという想定で行った。
訓練では、アンコールの曲の途中に地震の効果音が流れ、観客らはその場で身を伏せた。職員がその場で着席するよう指示を出しつつ、防災センターを中心に館内の状況を確認。避難経路を確保し、「楽屋エリアで火災が発生しました」と状況を説明してから観客約700人と楽隊の約30人を座席エリアごとに分けてハンドライトを使って屋外に誘導。残っている人がいないことを確認して訓練が終了した。
終了後には、左京消防署の村林幹夫署長が「プラカードやハンドライトもうまく活用できており、滞留もなくスムーズに誘導ができていた。声の小さい人はもう少し頑張ってもらうことと、プラカードを持った職員は後ろからではなく、舞台側から歩くと文字が読みやすくなってよくなるのでは」と講評を行った。
同ホール管理課課長の東秀樹さんは「職員も役割を確認したり、意見を集約したりして準備したことで、防災意識も変わったのではないか。やってよかったと思う。多くの人の命を預かる者として、それぞれができることを考えることで今後につなげたい」と話す。
コンサートに参加した浅田剛司さんは「職員の方はスムーズに誘導されていた。走った方がいいのか、パニックにならないようにゆっくり歩いたほうがいいのか戸惑う部分はあったが、訓練もやっておかないといけないと感じた」と話していた。