京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上ル、TEL 075-254-7414)で11月26日、対談イベント「荒俣・養老 京都を語る」が行われた。
開館11周年を記念して行われた同イベント。今年4月に新たな館長に就任した作家の荒俣宏さんと10年間館長を務めた名誉館長で解剖学者の養老孟司さんが対談した。
荒俣さんは「真の姿をお見せします」と三つ目の妖怪姿で登壇。「ハロウィーンに妖怪コスプレで街を歩く『百鬼夜行』を企画したが、台風で中止になってしまった。ここで披露できてよかった」と冒頭から会場を笑わせた。
近著「京都の壁」に関連し、東京と京都の漫画文化の発信について聞かれた養老さんは「東京に作っても『あって当たり前』になってしまう。新築のピカピカな建物では読む気になれない。文化庁も京都に移転するのだから、京都が中心になるべき」と指摘。荒俣さんも「漫画はダメ、と言われた小学校で読むからこそ背徳感がある」と応じた。
荒俣さんは「最近は漫画にネットが加わり、かなりパーソナルな世界になってきて、作品をセレクトする自主的な発想がなくなってきている。売れ筋作品だけでなく、忘れられているけれども面白くて変な作品を紹介する『館長展示』コーナーを作る」と構想を披露した。
荒俣さんは、「漫画が今でこそ表のように見えるが、サブカルチャーだ」と指摘した上で「京都にはイグノーベル賞と、ノーベル賞の両方取れる力がある。へそまがりで裏も表もあるからこそ、町家のように奥の深い発信をしたい」と館長としての意気込みを語った。