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アーティスト高橋匡太さんが講演 光を使ったまちづくり事例紹介

高橋匡太さんの作品の一つ「たてもののおしばい『塔(クイーン)は歌う』」

高橋匡太さんの作品の一つ「たてもののおしばい『塔(クイーン)は歌う』」

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 ワコールスタディーホール京都(京都市南区九条北ノ内町)で10月5日、アーティストの高橋匡太さんの講演が行われた。

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 「エキニシミライルミ」プロジェクトの一環として行われた同講演。始めに同事務局から、京都駅西側が、夜は人通りが減って寂しい印象になるという課題に対して今後、イルミネーションイベントを実施、周辺施設や企業の理解を得て続けていくという目標を紹介した。

 高橋さんは最初、会場となっているワコール新京都ビルのライティングを紹介。「光の絹衣」と名付けたデザインは、季節を先取りしたカラーで日本の暦「二十四節気」を表現。毎時30分に風が吹いたように「襲(かさね)色目」が移り変わる演出を施した。日本の淡い色をゆっくりと動かすことは技術的に難しかったという。

 「街をライティングで遊ぶ」試みについて、高橋さんは省エネルギーや参加型という趣旨で2011年に始まった「横浜スマートイルミネーション」の例を使って紹介。飲み屋街を照らし、いつもと違った街の風景を作り出したことや、建物に人の顔を投影する「たてもののおしばい」(2014年)について紹介。この企画が発展し、2015年には歴史的建造物「横浜税関(通称=クイーン)」にドラァグクイーンの顔が現れて、公募で集まった合唱団とクイーンを熱唱する企画が行われた。今年は上海で「顔ハメ」するとその顔が横浜に投影される「カオハメ・ザ・ワールド」を行う予定だという。

 次にコミュニケーションが重要となる参加型の作品を紹介。参加者が夢を絵や文字を描きこんだ光る「夢の種」を作り、気球の上から降らせる「夢の種プロジェクトについて「単に気球からLEDを降らせるだけなら2カ月もあればできるが、1年以上掛けて実施したプロジェクト。参加した子どもが、『あの中の一つは自分のものがある』『自分が描いたものを誰かが持って帰ってくれる』『この夢を描いた人はどんな人だろう』と感じる、そんな体験してほしいと思っている」と話す。

 最後に、2011年に始まった「光の実」プロジェクトを紹介。東日本大震災の仮設住宅にインフラが整わない中、コストを掛けないクリスマスイルミネーションとして始まったもので、電池式のライトを袋に入れて木に掛ける。この年は、横浜と陸前高田市で作ったものを交換した。高橋さんは「いろんな人が仮設住宅に勇気づけようとやってきてパフォーマンスを見る機会が多く『悪いな』と負い目があったが、自分たちで作って完成させられたのが良かった、という感想を頂いて参加型のものにしてよかったと感じた」と当時を振り返った。

 講演後、参加者はワコール新京都ビルの光の演出を高橋さんと見学した。

 エキニシミライプロジェクトは来年2月に主催者の一人「カエルグラス」の西村大地さんによるワークショップ「エキニシをどう照らす?」が行われる。

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