京都芸術センター(中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町)で6月23日、「建築Symposion(シンポジオン)キックオフシンポジウム」が行われた。
「この講堂の天井も東西、過去現在の要素が混じって面白い」と五十嵐さん
1869(明治2)年に建てられた元明倫小学校(現在は同センター)のグラウンドに日独仏の若手建築家が共同で8月26日から1週間限りの「仮設集落」を創出するプロジェクトに先駆けて行われた同シンポジウム。
企画は東アジア文化都市2017の関連企画で、「ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川」「アンス・テチュ・フランセ関西」と共同で行う。
マスターアーキテクトとして全体を統括する「ドットアーキテクツ」(大阪市)は設計・施工を手掛ける建築家ユニットで、香川県小豆島に建てた「UmakiCamp」(2013年)で知られる。建物は専門的な工具を必要とせず、安価な工法を使ったという。ヤギの飼育、誰もが自由に使えるキッチン、ラジオ局の開設、古い写真のアーカイブなど、地元の人と移住者が共存できる仕組みを作った。
この日は、加藤比呂史さん、島田陽さん、ドイツからスヴェン・プファイファーさん、ルードヴィヒ・ハイムバッハさん、フランスのセバスチャン・マルティネス・バラさんとバンジャマン・ラフォールさんの2人組が参加した。監修は建築史・建築批評家の五十嵐太郎さん。
プロジェクトにあたり、建築家らは明倫学区の住民に会って話を聞いた。学校は学区の住民の誇りで、現在でも盆踊りや野菜釣り、花見、テニスやグランドゴルフを楽しむ場所であり、防災拠点としての機能を持つと説明を受けたほか、子どもが遊べること、地元の住民とマンションの住民の関係性を築く、といった要望も受けたという。
シンポジウムでは土地の特性を「街中にあるのに奥まっていて隠されている感じ」「校舎とマンションに挟まれて屋外なのに室内のような空間」と指摘。その中で、ルール、プレイ(遊び)や水といったキーワードが飛び出した。建物の構造はやぐらや大きな客席といったアイデアが出たほか、時間によって変化したり動いたりするというイメージにはメンバーの同意が集まった。
五十嵐さんは「今日はまさに全員が顔を合わせての『公開打ち合わせ』。まだまだあやふやなものがどのように形になるのか楽しみ。設営や撤去のボランティアも募集しているので興味があれば参加してほしい」と呼び掛ける。