京都駅南側にある八清社員寮(京都市南区南河原町)で6月26日、「Theatre E9 Kyoto」設立プロジェクトの記者会見が行われた。
劇作家でアトリエ劇研ディレクターのあごうさとしさんが代表を務める「アーツシード」(左京区)が展開する同プロジェクト。京都市内でオーナーの高齢化や、建物の老朽化といった理由で、直近3年で5つの小劇場が閉鎖に追い込まれている状況を危惧して立ち上げたという。
プロジェクトには、あごうさんのほか、狂言師の茂山あきらさん、現代美術作家のやなぎみわさん、「建物に惚れ込んだ」という建築家の木津潤平さんが名を連ねる。
会見では敷地面積は約540平方メートルの鉄骨2階建ての倉庫兼作業場として使われていた建物を改装し、100席の小劇場を軸に、インスタレーションなども展開できる「ホワイエ」(待合)や2階のギャラリー、上演がなくても利用できるカフェ、レジデンスを含む施設に整備する計画を発表。完成予想図も公開した。
設立予定地の北側は、2023年に京都市立芸術大学が北側に移転し、京都市も「アートの実践」と「若者」をキーワードに地域の活性化が図る方針を打ち出しているエリア。JRや地下鉄3駅から徒歩圏内でアクセスもよいという。開業は2018年秋ごろを見込み、総事業費は約8550万円。同日、支援の受け付けも始めた。
支援はプロジェクトの進行に合わせ、3期に分けて募集する。1期(2017年7月~9月)は、劇場開設の基礎工事費や認可のために必要な構造計算として3400万円、2期(2017年10月~2018年5月)は改修費として2000万円、3期(2018年8月~10月)は、改修費の残額と備品購入費として3150万円を募る。
1期と3期はクラウドファンディングサイト「Ready For」で少額の寄付も受け付ける。リターン品にはオープン記念公演の招待や名前入りシートを用意した。同プロジェクトでは現在、ネーミングライツパートナーも募集している。
茂山あきらさんは「20代前半に小劇場『無門館』(今年8月で閉館する『アトリエ劇研』の前身)でサミュエルベケットの作品を上演した。若者と一緒に活動することで古典もいきる。京都の文化の土壌となる若い人の活動場所を立ち上げたい。どうか多くの人に支援をいただければ」と支援を呼び掛ける。