西陣にあるコワーキングスペース「Impact Hub Kyoto」(京都市上京区油小路中立売東入る甲斐守町)で6月5日、今秋開催される「ART CAMP TANGO 2017『音のある芸術祭』」の記者発表会が行われた。
香港のアートNPO「soundpocket(サウンドポケット)」と連携し、丹後に国内外のアーティストを招き、一般の参加者ともワークショップなどを通じて交流を図る同イベント。1988(昭和63)年に日本のサウンドアートの草分けとされる鈴木昭男さんが東経135度で耳を澄ます「日向ぼっこの空間」を発表して以来、丹後での継続的な活動から、若手の交流へと発展し、芸術祭の構想が生まれた。
今年のテーマは「listening, seeing, being there」。「音」の言葉をより広く捉え、ジオパーク(地質遺産)にも指定された海岸線や、古墳が多く存在し、古代王国の存在を感じさせる丹後の地で「聴き、見る」ことでしか得られない芸術体験に焦点を当てたプログラムを展開する。
プログラムは、京都丹後鉄道の網野駅から豊岡駅の区間で行う鉄道公演からスタート。メイン会場となる旧郷小学校(網野町)の校舎では、参加アーティストの展示会のほか、アーティストトークやワークショップを行う。
プログラムに先立つ「アーティスト・イン・レジデンス」では地域と交流するワークショップや交流会などのほか、日本とアジアのミュージシャンの交流企画「丹後 サウンド・スタディー(仮称)」も行われる。
記者発表では、美術作家の小川智彦さんが「歴史が紡がれる以前の風景が残るように感じる。その風景から作品の構想につなげたい」、美術家の木藤純子さんが「作品では直接音を用いないかもしれないが、その場でしか感じられない体験を立ち上げたい」、「空白」をテーマにしたプロジェクトを各地で展開する三原聡一郎さんは「音と同じ『空気の振動』である風を用いたチャレンジをしたい」と意気込みを語った。
会見の最後には、参加アーティストの一人で地元在住のギタリスト、山崎昭典さんが「海のエチュード」を披露。山崎さんは「海のエチュードは1日も同じ姿をしない日本海をイメージした曲で、3曲目までできた。生活の中で忘れてしまっているものを取り戻すような時間をつくっていきたい」と話した。
開催期間は9月9日~24日。プログラムは順次公式ホームページで発表する。