同志社大学(京都市上京区)で2月19日、「ユヌス&ユースソーシャルビジネスデザインコンテスト(YYC)」の本選が行われ、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士らが審査を行った。主催は九州大学ユヌス&椎木ソーシャルビジネス研究センター。
ユヌス博士は、貧困に苦しむバングラディッシュで、農村部の女性を中心に無担保小口融資(マイクロクレジット)のシステムをグラミン銀行を創設して実践。貧しい人にしか貸し出さず、グループで連帯保証するなどの手続きにより、返済率は98パーセントを誇るという。貧困撲滅への貢献が評価され、2006年にはノーベル平和賞を受賞した。
同コンテストの出場者は10月から4回のワークショップを体験。同コンテストに賛同する「メンター」と共にビジネスプランの立て方やチームビルディング、収支計画の立案方法などを学び、予選会で選ばれたチームがプランをプレゼンテーションした。
今回本選に進んだのは6チーム。メンタルヘルスや人間関係の希薄化、地域の過疎化、農業や環境に対する問題などそれぞれが選んだ課題解決のためのプランを発表。審査員から「プランの負の部分をどう克服するのか」「継続性はあるのか」といった厳しい質問も飛んだ。ユヌス博士や同センターの岡田昌治教授らの審査により、外国人観光客と地元の人が文化交流できるプラットフォームを提供することで、過疎の問題の解決を図る「Tabimart」が選ばれた。
ユヌス博士は参加者らに「今日はスターティングポイントにすぎない。行動すればアイデアは洗練されるし、成長するし、アイデアが変わることもある。これが有機的な成長だ。今後も努力を続けて、そしてどう実行していけばいいのか考えてほしい」とエールを送った。
優勝チームは11月にベルリンで開催される「グローバルソーシャルビジネスサミット」に参加できる権利が進呈された。代表のグランジェ七海さんは「アイデアが選ばれてうれしいが、これからプランを現実に立ち上げていくので頑張らないと」と気を引き締めていた。