京都国立近代美術館(京都市東山区)で現在、企画展「茶碗の中の宇宙 樂(らく)家一子相伝の芸術」を開催している。
初代長次郎から現代の15代目樂吉左衛門さんに至るまでのおよそ450年間伝わる樂家の作品を一堂に集めた同展。樂家は、弟子は取らず、当代の技術や精神性を実子あるいは他家からの養子である「子」にそのすべてを伝える「一子相伝」により継承されている。
展示では樂吉左衛門さんも「よく割れずに残っていてくれた」と話す、初代・長次郎の「大黒」など個人所蔵の貴重な作品も展示。装飾性や個性表現を削(そ)いだ姿は、利休が追求した佗(わ)び茶を体現しているという。
学芸員の松原龍一さんは「通常、博物館で歴史的展示の評価を行うものだが、それぞれの代の現代性を見る展示として企画した。15代が連続しているように見えるが、その代その代で、現代を意識した『不連続の連続』であり、近代美術館で展示をする意義がある」と話す。
15代目樂吉左衛門さんは「初代・長次郎は引くことのできないところまで完成されているといえるかもしれないが、それぞれの代の茶わんは、葛藤し、意気込み、挑戦している様が刻み込まれている。茶わんの中が見えるように展示台は少し低めにしている。のぞき込んで『茶わんの中の宇宙』を見てほしい」と来場を呼び掛ける。
開催時間は9時30分~17時(入館は30分前まで)。月曜休館(1月9日は開館。翌10日は休館)。入館料は、一般=1,400円、大学生=1,000円、高校生=500円、中学生以下無料。2月12日まで。