京都ホテルオークラ(京都市中京区河原町御池、TEL 075-211-5111)で7月20日、ホテルの宴会などで用いられる氷彫刻の講習会が行われた。主催は全日本厨士協会京滋本部。
国内外の氷彫刻の競技で受賞歴のある同ホテルシェフの安田昇さんが講師を担当。最初に安田さんが氷用のノミやノコギリを使い、波から飛び出したトビウオの姿を彫り出した。「最初からシルエットを丸くせずに、溶け始めが一番美しくなるよう、彫りすぎないように」と指導。
京都や滋賀、名古屋などから20人が参加。初級者は9貫(約34キロ)、中級者には18貫(約68キロ)の氷が用意され、トビウオやハクチョウの姿を彫った。余分な部分を勢いよく切り出すとキラキラとしたかけらが飛び散り、会場に冷気が広がった。
参加者で同ホテルの宴会調理担当の小谷恭平さんは、どんどん溶けていく氷に苦戦。ついには尻尾が取れてしまった。「細くなる部分の表現が難しい。もっと上達して、宴会場に自分の彫刻が使ってもらえるようになりたい」と話していた。
安田シェフは「冷たい料理の演出や、パーティーの趣旨に合わせた氷彫刻をすることで、お客さまにとても喜んでもらえる。今は需要が減っていて技術を持つ人が減ってきているので、若い人に技術を継承したい」と話す。
通りかかった観光客らは「見た目は涼しいけど、彫っている姿は大工仕事みたい」と驚きながらも一時の涼を楽しんでいた。