建仁寺塔頭「両足院」(京都市東山区小松町)で6月5日、勉強会「奇想の画家―若冲の交友関係―」が行われた。主催は両足院と京都で活躍する作家6人と有志でつくる「京・焼・今・展」実行委員会。
両足院は歴史的に陶工や文人、画人のサロンのような役割を担っていたところ。五条坂に生まれ育ち、近代の京焼を研究する清水愛子さんが発起人となり、京焼の「いま」を模索する取り組みとして2013年にスタートさせた。
毎年テーマを設けて展示会や勉強会を行う。今年は「若冲」をテーマとした作陶を試みる。そのためによりよい理解を深める目的で毎回多彩な講師を招いて話を聞き、一般にも公開している。
この日の講師はMIHO MUSEUMの学芸員の岡田秀之さん。昨年同美術館で開催した「同い年の天才絵師 若冲と蕪村」を担当した。
岡田さんによると、江戸時代の人名録「平安人物志」から、若冲の家(高倉小路上る)は蕪村の家(仏光寺烏丸西入る)から約900メートルという近所だったが、2人の合作のような作品や手紙など交流を示すものが確認されていないという。
このほか「動植綵(さい)絵」の「魚群図(鯛)」のルリハタに、海外からしか手に入らない人工顔料「プルシアンブルー」が使われており、同顔料の入手先については不明で、現在分かっていない交友が想定されるという。
講演の最後には「本物の絵を見てそこで若冲が何を語りたかったのか、しっかり見て向き合ってほしい」と参加者に呼び掛けた。