岡崎にあるギャラリー「KUNSTARZT」(京都市東山区夷町、TEL 090-9697-3786)で現在、札本彩子さんの食品サンプルを使った作品展「inside」が開かれている。
山口県宇部市出身の札本さんは、京都精華大学芸術学部造形学科卒業。3回生から好きで興味を持っていた食品サンプルを自作して、テーマ性のある作品に仕上げる。元立誠小学校で行われたグループ展で、階段に散乱する給食の食品サンプル作品「imitation」でアート関係者から声が掛かるなど注目を集めた。
手羽先や焼き鳥などさまざまな鶏肉の食品サンプルで作られたイス「私はここに座ることはできない」は「フライドチキンは四足の鶏を使っている」という都市伝説を形にしたもの。人が鶏を飼育して食肉として消費するヒエラルキーやエゴイズムも表現したという。
会場で目を引くのは80個もの「のり弁」が壁に整列する作品。同作は札本さんがセブン-イレブンの弁当工場でアルバイトとして働いた経験に基づく。札本さんは「工場では、指先の小さな傷でも食品を扱えなかったり、30分に一度、服のホコリを粘着クリーナーで取る人が回ってきたりと徹底的に衛星管理していた。家に帰ってからは、食品サンプル作りに追われ、生活がのり弁一色になった(笑)」と振り返る。のり弁のサンプルは、本物の10倍の価格、4800円で販売も行う。
期間中、札本さんは、弁当工場で使っていた制服のエプロンやキャップを着けて新作「食事のためのホルスタイン2」の制作を進める。「工場ではみんなこの格好だったので何も思わなかったが、ここだと異質な姿なので少し恥ずかしい」とはにかみながらも「制作の様子も見られるので、食品サンプルが好きな人にも足を運んでもらえたら」と呼び掛ける。
会場では、廃棄処分用のカツが転売されていた事件にちなんで作ったという「転売キーホルダー」(1,129円)、肉をモチーフにしたキーホルダー(1,129円)やバレッタ(2,900円)などの雑貨も用意する。
開催時間は12時~18時。今月20日まで。