細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺、TEL 075-752-5555)で現在、「春画展」が行われている。
春画は、性的な事柄と笑いの同居した芸術性の高い肉筆画や浮世絵版画の総称で江戸時代には「笑い絵」とも呼ばれる。大名や武士、庶民までが楽しまれたが、明治期から恥ずべきものとして秘匿されるようになった。25年前から無修正で出版はされていたが、日本では春画だけの展覧会は行われてこなかった。
昨年、東京・永青文庫で行われた展示では、3カ月弱で約21万人が来場するなど大きな反響を呼んだ。京都展では、その後見つかった作品など同会場限定の12点を含む全135点を展示。新たに春画のルーツを探るコーナー「京都と春画」も設けられた。伊勢神宮に奉仕するため、潔斎(けっさい)していた済子女王と、警護の武士・平致光の平安中期の密通事件をモチーフにした「小柴垣草紙絵巻」の模本など嵯峨・野々宮を舞台とした作品や、京都の絵師・西川祐尹の作品が京都限定で並ぶ。
同実行委員長の淺木正勝さんは「明治以来、春画だけの展示ができなかった。風穴を開けたいと思い、東京で多くの方に春画の魅力を知っていただけた。京都の方にどのような反響があるかも楽しみ」と期待を寄せる。同副会長の浦上満さんも「本物の迫力を見てもらいたい」と話す。
国際日本文化研究センター(西京区)で春画を研究する早川聞多名誉教授は「平安末期から鎌倉時代に生まれた仏教的な人間観を背景に生まれてきた。春画は性を正面から捉えようとする重要な視点を育んできた。単なる巡回展でなく、充実した研究や興味が充実し、膨らんでいることが見て取れる」と話す。
開催時間は10時~18時(入館は閉館の60分前まで)。月曜定休(3月21日は開館)。入場料=1,500円(18歳未満は入館禁止)。前期=2月6日~3月6日、後期=3月8日~4月10日。