京都芸術センター(京都市中京区)で11月9日、来年3月5日から始まる「京都国際舞台芸術祭(KYOTO EXPERIMENT)」のプログラムが発表された。
KYOTO EXPERIMENTは、2010年秋に始まった舞台芸術を中心とした祭典で、国内外で活躍する舞台芸術作品が上演される。例年秋に開催するが、来年オープンする「ロームシアター」(旧京都会館・左京区)のオープニング事業として初めて春季に行われる。
同実行委員長の森山直人さんは「趣旨やコンセプトが変わるわけではない。新たな組み合わせを作ることで新たな芸術を作り出す舞台芸術の特質であり魅力を、次代のアートを担う若い人やアートを愛する人に届けられたら」と話す。
同日行われた会見では、プロジェクトマネジャーの橋本祐介さんが公式プログラムの11作品を発表し、3つの軸から作品を紹介した。1つ目の軸は「現代舞台芸術の源流をたどる試み」。ニューヨークのソーホーで上演した「Man walking Down the Side of Building(1970年)」や屋根を舞台にした「Roof Piece」などの既存のパフォーマンスの概念を覆し、現在のポスト・モダンダンス界に影響を与えたトリシャ・ブラウンカンパニーが来日。トリシャ・ブラウンさんの初期作品を京都国立近代美術館(左京区)でオムニバス形式で上演する。昨年からトリシャ・ブラウンカンパニーは世界ツアーを行っており、その一環として京都での上演が実現した。
2つ目の軸、「作家たちの共同作業による新作群」としては、2013年に京都に開設した拠点に活動する「地点」が新作を発表。エルフリーデ・イェリネクが戯曲で、大衆が熱狂するスポーツの今のあり方を戦争にも見立てて批判する戯曲「スポーツ劇」(1998年)に取り組む。音楽監督には、前回に続き、三輪眞弘さんを招く。
3つ目の軸、「継続的な国際交流プロジェクトとしての作品群」としては、2012年からKYOTO チョイ・カファイさんが続けるアジアにおけるコンテンポラリーダンスをアーカイブする試み「ソフトマシーン」が挙げられた。今年はインドとインドネシアと東京で活動するダンサー・振付師の2人をドキュメンタリーで紹介する。
新たな試みとして、外部専門家によるキュレーション作品をショーケース形式で上演する「forcast」や、隣接分野であるデザインや建築にも目を向けたプログラム「河童よ、ふたたび」を展開する。同プログラムでは、京都芸術センターと、ロームシアターの「京都ローム・スクエア」(=中庭)で、都市を造るために張り巡らされたインフラ設備によって失われたものの象徴「河童」を取り戻すための企画を展開。ローム・スクエアでは、街で見かける「インフラ的オブジェ」を本来の使い方とは違った形で出現させるという。
料金や開催時間はプログラムによって異なる。3月27日まで。