9月を目前にして夏休みの宿題に励む学生に「チャート式」で知られる数研出版(京都市中京区烏丸通竹屋町上る大倉町)からメッセージをもらった。
数研出版の歴史は、「数学研究社高等予備校」に始まる。同校で教べんを執った星野華水が考案した参考書「チャート式」(初版1926年)が当時の学生に支持された。チャート式という名前には、解答という港に確実にたどり着くための「海図(チャート)」になろうという思いが込められている。数学や理科のイメージが強い同社だが、英語や国語といった科目の参考書や検定教科書を発行。デジタル教材も業界で早くから取り組んでいる。
同社編集部次長の小森亜由美さんは、教科書も参考書作りにも「妥協は無い」と強調する。「使う人にとってわかりやすいものになるようにぎりぎりまで細かな点まで考え抜く」という。総務部の深津多家康さんも、「当社はずっと校正の赤を何度も入れながら作っていく会社。2代目の星野剛も、英語の教材でも良問を思いつけば修正どころか全く違う問題にしてしまうことで知られていた。ある意味で印刷屋泣かせですね」と笑顔を見せる。
宿題を頑張る学生に向けたメッセージをお願いすると、「投げ出してしまいたくなる気持ちもわかる」と小森さんは苦笑する。「でも、チャート式の解説は着実に、確実に理解できるように作っている。テキストの力を信じて続けてほしい。とてもしんどいけれど、自分の力でやり遂げたという達成感は、人生を支える大きな自信につながるはず」とエールを送る。